2000年代初頭に声優としてブレイク、最近では数多くのドラマにも出演し俳優業でも注目を集める。さらに映画監督としての顔も持つ、津田健次郎の多才な姿を、俳優、声優、監督の3つの視点から解き明かします!【俳優】心の内に、熱さと深い業を抱えた役者になりたい。「この10年ほど、改めて一から芝居を立ち上げ直したくて、本を読んだり、考えを深めたり、芝居を始めた頃に立ち返って学び直しているんです。まっさらになって芝居を学ぶの、すごくおもしろいですよ。ワークショップなんかにも挑戦しています、実は(笑)。いい役者になりたいんです。僕が憧れるいい役者って、怖いんですよ。僕も、業の深い、燃えたぎる何か…つまり、修羅のようなものを抱えている、そんな役者になりたいと、ずっと思っています」【声優】人生と努力の積み重ねで、声も成長をするんです。「ここ数年、例えば『呪術廻戦』など、特にアニメは自分が出演した作品が海外の方に観てもらえることが増えてきて、それがすごく嬉しいです。個人的には、声も成長というか、変化するものだと思っていて。アフレコでいろんな声を出したり、忙しくて眠れない結果、声がガサガサになったこともあります。よく人生は顔に出るといわれますが、声にも人生は出る。僕は、それはかっこいいことだと思っています。この先もこの声で、いろんなキャラを演じたい」【監督】監督業や作品を通じて自分の気持ちを表現したい。「10代の頃から映画を撮りたかったのですが、特に僕はカンヌでパルムドールを獲っている作品に感銘を受け、そこからさらに撮りたいという気持ちが強くなった。僕は社会に対する思いや考え方を、作品を通して表出させたい。今は長編のプロットを書いていて、その作品でカンヌに行きたい…って、言っちゃった、恥ずかしい(笑)。でも、僕は言わないと火がつかないタイプなので。カンヌに行けることになったら、ぜひananも取材に来てください(笑)」芝居はおもしろくて難しい。だからこそずっと夢中なんだと思う。舞台からキャリアをスタートさせ、アニメーションや洋画の吹替、最近は実写作品での活躍も目覚ましい津田健次郎さん。仕事のフィールドが広がったきっかけを伺うと、2020年のNHKの朝の連続テレビ小説『エール』のナレーションを担当したことが一つ、と答えてくれた。「NHKのあの時間の作品は、全国津々浦々、老若男女問わず見る方が本当にたくさんいらっしゃる。それまでも、声優として僕の声を認知してくださっていた人たちはたくさんいらしたと思うのですが、『エール』以降、それまでとは別の層の方々からも気にしてもらえるようになった、そんな実感がありました」また、もともと活躍していたアニメーションというジャンルの立ち位置の変化も大きかったとか。「僕らが子供の頃はアニメーションというと、子供か、アニメが好きな大人が観るもの、という感じだったと思うんです。でもこの10年ほどでアニメーションが限られた人たちのものではなくなり、さらにコロナ禍でもっと外の世界に広がっていった印象があります。アニメの仕事が多かった僕にとっては、時代の後押しもあったのかもしれません(笑)」キャラクターの絵に合わせて声だけで演技をする声優業、自分の体すべてを使う実写映像作品や舞台。どちらも〈芝居〉ではあるけれど、表現の仕方も、難しさは異なるのでは。そんな素人質問をぶつけてみると、津田さん的には「ジャンルによって何かが変わる、ということはない」とのこと。「確かにスタートは舞台ですが、そもそもは“芝居がしたい”という気持ちから始まっているので、僕にとってはどのジャンルも同じ。ボーダーラインはない。“アニメーションはキャラクターがデフォルメされている”という方もいますが、実写でもそういった芝居を求められることはありますし、逆にアニメーションですごくフラットな芝居をすることもある。僕的には、作品ごとに、あるいはキャラクターごとに芝居を考える、という感じなんです。異なるフィールドに行くことに対する緊張はありますが、〈お芝居〉と名がつくものであれば、変わらない…というか、変わっちゃいけない気がしていて。ジャンルによって道具の使い方は異なりますが、常に芝居というものの本質を目指すことに、違いはないですね」俳優としての津田健次郎を多くの人が知った作品といえば、警視庁の刑事を演じた、2021年放送のドラマ『最愛』。津田さん自身にとっても、印象的な作品だったそう。「この作品で出会ったプロデューサーさんとチーフディレクターさんが、キャラクター、物語、スタッフ、キャストなど、作品を構成するすべてに対して愛情が深かった。現場ですでにそれを強く感じていたんですが、結果的にとてもいい作品になったと思っていて。ものづくりの原点である“作品を良くするのは愛である”ということと、“愛を持つだけでなく、それをきちんと伝えること”の大切さに、改めて気がつけたという意味でも、この作品への出演はとても大きな経験でした。僕は役者として、演じている役やシーンに対してしっかり愛を注いでいかなければ、と思いましたね」おそらく今、ひっきりなしに出演依頼が舞い込んでいるであろう状況の中、津田さんはどんな作品に「出たい!」と心を動かされるのか。「まず基本的に、僕はすごく欲張りなんです。アニメーションもやりたいし、映画もドラマも出たい。そういう意味で言えば、バランスということは全然考えていないですね(笑)。どんな作品に出たいというよりも、いい仕事をしたい、と思っていて…っていうと、抽象的ですよね。そもそも、何をもって“いい仕事”とするかって問題もありますし。強いて言えば、クオリティ、かもしれません。例えば僕はホラー映画が苦手なんです、怖いものが嫌いなので(笑)。でも、例えば『ゲット・アウト』や『NOPE/ノープ』のジョーダン・ピール監督だったり、『ミッドサマー』や『ボーはおそれている』のアリ・アスター監督から声をかけてもらったとしたら、観るのはもちろん出るのも怖えぇけど(笑)、そのクオリティだったらやるべきだと思います。苦手だったり、今まで興味がそれほどなかったジャンルの作品でも、食わず嫌いをしないでやっていきたい。あ、だから逆に、“最近津田さん忙しそうだから、無理だろうと思って声をかけなかった”と、あとから聞くことがまれにあるんですが、それ、めちゃくちゃ嫌なんですよ…。とりあえず気軽に声をかけてください(笑)」20歳で芝居の道を志し、現在52歳。振り返ると、10年ごとにターニングポイントがあった、と津田さん。「30歳でようやく芝居で食べられるようになり、ある程度経験を重ねて40歳を越えた頃、少し力を抜くことができた。そこで改めて、芝居に対して初心に返ろうと思ったんです」その“初心”とは、“演じるけれど、演じない”というもの。「この世界に入ったときから、“芝居をするとはどういうことなのか”についてずっと考えていて。矛盾があるんですけれど、僕にとって理想の芝居とは、“芝居をしない芝居”なんですよね。うまく言えないんですが、スポーツ選手がゾーンに入っている、みたいな状態というか…。それに近い感覚を目指したいんです。でもねぇ、40歳でそこに気がついてから10年、ますます芝居が難しくなってます(笑)。もちろん楽しいんですが、楽しいからこそ難しい」ここからの10年は、これまで培ってきたものを捨てていく作業が必要になる、とも。「必要なものだけを持って、シンプルな芝居をしたいし、シンプルな人間になりたい。でもきっとそれって、積み上げることより、難しいことな気がします。でも、楽しみです」そして津田さんのもう一つの大きな夢が、監督として映画を作ること。もともと芝居に目覚めたきっかけが映画で、10代の頃にミニシアター系の作品にたくさん触れたことで、さらに深く深く夢中になった。そしてこの10年、映画を撮るというフィールドにも少しずつ種を蒔き、思いを育ててきた。「40歳くらいから、雑誌を作ったり舞台を作ったり、MVを撮ったりと、ジャンルを問わずいろんなことに挑戦する中で、最終的にはやっぱり長編映画を撮りたいという思いが明確になりました。いつか自分の作品を、海外の人にも観てもらいたい…それが今の僕の夢です。でもねぇ…、僕は演技に関しては結構大胆なところがあって、不安があっても“やっちゃえ!”ってタイプなんですが、撮るとなると、そんな余裕は全くなくなるし、さらに自分の芝居にOKなんて絶対出せない…。でも、そういうところも克服して、できれば来年、難しくても2026年には、長編を観せられるように頑張ります(笑)」つだ・けんじろう1971年6月11日生まれ、大阪府出身。声優、俳優。声優として『ラーメン赤猫』『呪術廻戦』『極主夫道』『遊戯王デュエルモンスターズ』シリーズほか多数のアニメ作品、『スター・ウォーズ』シリーズなどの洋画吹き替え、多ジャンルのナレーションを担当。第15回声優アワード主演男優賞受賞。またドラマ『グレイトギフト』、『映画 マイホームヒーロー』ほか俳優としても広く活躍している。ジャケット¥66,000パンツ¥33,000シューズ¥72,600(以上ラッド ミュージシャン/ラッド ミュージシャン 原宿 TEL:03・3470・6760)シャツ¥41,800ベルト¥22,000(共にガラアーベント/サーディヴィジョンピーアール TEL:03・6427・9087)サングラス¥48,400(アイヴァン/アイヴァン 東京ギャラリー TEL:03・3409・1972)その他はスタイリスト私物※『anan』2024年6月5日号より。写真・森山将人(TRIVAL)スタイリスト・藤長祥平ヘア&メイク・ハラタタケヒコ(Artsy Life)(by anan編集部)
2024年06月01日放送中のドラマ『ミス・ターゲット』で共演している松本まりかさんと上杉柊平さんが作品の魅力について語ります。――ドラマ『ミス・ターゲット』で、松本さんは百戦錬磨の結婚詐欺師・朝倉すみれを、そして上杉さんは和菓子職人・村松宗春を演じています。交わりそうにない二人が出会い、惹かれ合っていく恋愛物語ですが、この作品の魅力をどんなところに感じていますか?松本まりか(以下、松本):大人の純愛を潔く描き、真正面から胸キュンポイントをついてくる脚本が素晴らしい。大人になっても純粋な恋愛をしていいんだ、と思わせてくれるのも魅力的。上杉柊平(以下、上杉):いろんな経験によって自由に動けなくなった大人たちの、王道の恋物語。壁ドンとかお姫様抱っこじゃない、心のキュンキュンがたくさんあるところも素敵です。松本:私たちも、その時の役の状態を背負って演じていると自然とそうなるんですよね。上杉:そうそう、キュンキュンをどう演じるかというより、勝手にそうなっている。そもそも“好き”がわからない二人でもあるし。松本:第2話でキスしそうになるシーンがありましたが、大人なのにどうしたらいいかわからなくて戸惑う、というのもそうでした。上杉:わざわざそう演じたわけじゃなくて、そうなっちゃった。それが演じていても面白いところ。――すみれと宗春の自己肯定感は高いと思いますか?松本:すみれは高いと思います。宗春の「すみれさんは“よもぎ”みたいな人」というセリフのように、すみれは過酷な環境で育つよもぎのように壮絶な人生を歩んできたにもかかわらず、卑屈になったり悲劇のヒロインになったりしない。きっと辛い日々の中で自己否定する暇もなく、生き抜いてきた強い人なんじゃないかな。上杉:宗春は和菓子職人としての自分に満足しているし、誇りを持って働いていることが幸せだと信じているので、すみれに会うまでは自己肯定感が高かったはず。でも初めて外の世界を見て、恋を知ったりするうちに、レベルゼロのステイタスが見えてきて、自己肯定できない部分が増えていきます。――宗春は小豆や大福と話したりもしますが、それも自己肯定感を上げるための一つだったり?上杉:さすがにその宗春のメンタル的なところには理解が追いつかないと思ったけど(笑)、でも僕が草木に話しかけるのと一緒かなって思うとわかる気もします。松本:そうだね。でもすみれも、お金の前では自己肯定感が低くなるのかも。幼少期に母親から大きな愛を受けていても、お金がない環境で育ったことでお金に執着するようになり、本当に大事なことと向き合わずに逃げてきたから。――二人の感情や価値観が少しずつ変わっていくところも面白いですね。お二人は初共演ですが、会う前の印象と変わったところは?上杉:僕は誰に対しても、こういう人だろうなという先入観を持たないようにしていて、そういう意味では変わったことはありません。でも「笑顔が素敵な人に悪い人はいない」と聞くように、松本さんは本当に笑顔が素敵な人で、お話をしてみたらその通りで。作品をよくするために、自ら動いて周りを巻き込む力がすごく強い人。松本:(上杉さんをじっと見ながら)もっと言って!(笑)上杉:なんか急に言いづらくなっちゃったな(笑)。本来誰でも、限界を決めずにやろうというつもりでいても、スケジュールなどの関係で諦めることがあると思うんです。でも松本さんは自分に厳しく、諦める自分を許さない人。その姿を見て僕らは初心を思い出せるし、いいものを生み出せるサイクルを作る人。カッコいいです。松本:上杉くんといると、自己肯定感上がるわぁ(笑)。誰かの、素敵だなとかいいなって思うところを素直に言葉にして人の心にスッと入り込んでくるのって、一流を超えて、超一流だと思う!――自己肯定感を高め合えているお二人ですね。恋愛と自己肯定感の関係性はどう感じていますか。上杉:僕の場合、恋愛は自己肯定感には繋がらない気がします。松本:え~っ。上杉:だって、お互いを100%受け入れることなんてないし、恋愛をしたとしてもいつか縁が切れる準備をしているから。松本:それはわかる。人間って一人で生きて一人で死んでいくものだから、私は一人でいる覚悟ができた時に恋愛をすればいいって思っていて。恋人といつ離れても、自分のメンタルは変わらないぐらいに自立した状態でいたい。上杉:それもわかります。松本:ただ、自分で自分を信頼できる人間になって、いつか離れることを覚悟した上で相手から信頼してもらえたら、自己肯定感は上がるんじゃないかな?恋愛って圧倒的な信頼関係であり、信頼こそが幸せを感じる要素だと思う。上杉:恋愛をするなら、同じ精神レベルの人じゃないと難しいかも。でも中高生の頃は同じ学校に好きな子がいて楽しかったし、幸せを感じるポジティブな要素はあって。相手からも好きだと思われたい、カッコいいと思われたいという気持ちを持つことで確かに自己肯定感は上がるのかも。まあ今は一人でいるほうが楽しいけど。松本:二人って楽しいよ…って、そうはいっても私も言える立場じゃないけど(笑)。『ミス・ターゲット』結婚詐欺師のすみれが婚活を始めるという、ジレンマだらけのラブストーリー。和菓子職人の宗春と出会ったことで、初めて本気の恋にのりだすが…。ドラマ『ミス・ターゲット』は毎週日曜22:00~ABCテレビ・テレビ朝日系にて放送中。出演/松本まりか、上杉柊平、沢村一樹ほかまつもと・まりか1984年9月12日生まれ、東京都出身。主演作はドラマ『向こうの果て』『それでも愛を誓いますか?』ほか。ナレーションやアニメの吹き替えなど、声優としても活躍。主演映画『湖の女たち』が公開中。ジャケット¥46,200パンツ¥31,900(共にカレンテージ/メルローズ TEL:03・6682・0054)タンクトップ¥49,500(アー・ペー・セー ナターシャ・ラムゼイ・レヴィ/A.P.C. CUSTOMER SERVICE TEL:0120・500・990)ピアス¥53,900リング¥27,500バングル¥45,100(以上サラース/サラース カスタマーサポートcustomer@sararth.com)シューズ¥169,400(セルジオ ロッシ/セルジオロッシ カスタマーサービス TEL:0570・016600)うえすぎ・しゅうへい1992年5月18日生まれ、東京都出身。ドラマや映画に出演し俳優として活躍する一方で、HIP HOPグループに所属し、音楽活動なども行っていた。10月公開予定の映画『八犬伝』に出演。シャツ¥28,600パンツ¥34,100ベルト¥8,800(以上MHL. TEL:03・5785・6445)中に着たシャツ¥35,200(ネズヨウヒンテン/にしのや TEL:03・6434・0983)シューズ¥81,400(へリュー/ユナイトナイン TEL:03・5464・9976)タンクトップはスタイリスト私物※『anan』2024年6月5日号より。写真・野田若葉(TRON)スタイリスト・藤長祥平ヘア&メイク・AKEMI KIBE(PEACE MONKEY/松本さん)mayumi shiraishi(上杉さん)取材、文・若山あや取材協力・BACKGROUNDS FACTORY(by anan編集部)
2024年06月01日放送中のドラマ『ミス・ターゲット』で本気の恋に向き合う姿を熱演。作中のみならず、互いに高め合いながら作品を創り上げている、松本まりかさんと上杉柊平さんが思う“自己肯定感”とは?松本まりか「自己肯定感を高める=自信を持てるかどうか」“自己肯定感”とはもちろん他人に上げてもらえるものではなく、自分でどうにかするもの。言い換えれば、自分の努力次第でいかようにもなるはずです。相手から尊敬されることで上がるなら、尊敬されるような人になればいいですから。でもね、人間ってそんなに簡単ではないし、強くもない。私も自己肯定できるようになってきたのはつい最近、39歳になってから。基本的にプライベートや仕事などのスイッチを分けていなくて、全部が一つだと捉えているのですが、何事においても終わりはなく、なかなか「やりきった」とは言えない性格で。それでもようやく、やれるだけやってきたと思えたのと、何度も限界を超えてチャレンジしてきたことが自信に繋がってきたからだと思います。私の場合は、自己肯定感を高める=自信を持てるかどうかなのかもしれません。そういうふうに自分を知り、克服方法を得ることは大事なことだと思います。他にも私が自己肯定感を上げるのに有効だと思っているのが、誰も見ていないところで人のために美しい行いをすること。例えばトイレの洗面台の水はねをきれいに拭いているのですが、“知らない誰かのために行動できた”と思えることで、他人を思いやる筋肉がつくんです。そのうち心に余裕が生まれて、やがて“自己肯定力”となって自分を助けてくれる。ちなみに最近、自己肯定感の高まりを感じたのは、自分が尊敬する人や素敵だと思う人たちに信頼してもらっていると実感した時。いい信頼関係もまた、私にとって自信と幸せを作り出してくれます。自己肯定感にまつわる Q&AQ1. 自己肯定感は高いほう?A. すごく低かったけど上がってきました。Q2. その理由は?A. 少しずつ自信を持てるようになってきたから。Q3. 落ち込んだ時の立ち直りは早い?A. はい。やるべきことが次々出てくるので、落ち込んでいる暇がありません。Q4. ポジティブになるためのアイテムは?A. エジプシャンオイルと浅煎りコーヒー。Q5. 自分を褒めてあげたいのはどんな時?A. 限界までやりきり「怠けなかった?」の自問に「イエス!」と答えられたら。まつもと・まりか1984年9月12日生まれ、東京都出身。主演作はドラマ『向こうの果て』『それでも愛を誓いますか?』ほか。ナレーションやアニメの吹き替えなど、声優としても活躍。主演映画『湖の女たち』が公開中。ジャケット¥46,200パンツ¥31,900(共にカレンテージ/メルローズ TEL:03・6682・0054)タンクトップ¥49,500(アー・ペー・セー ナターシャ・ラムゼイ・レヴィ/A.P.C. CUSTOMER SERVICE TEL:0120・500・990)ピアス¥53,900リング¥27,500バングル¥45,100(以上サラース/サラース カスタマーサポートcustomer@sararth.com)サングラス¥36,300(アイヴァン/アイヴァン 東京ギャラリー TEL:03・3409・1972)シューズ¥169,400(セルジオ ロッシ/セルジオロッシ カスタマーサービス TEL:0570・016600)上杉柊平「近しい人から評価を得ることで“自己肯定力”に」仕事でもプライベートでも、積み重ねてきたことで成果を出したら自分で認めて褒めてあげること。その成功体験が自信となった時に“自己肯定感”に繋がっていくのかな。意識的に自己肯定することは結構大事だと思いますが、僕はこれまでやってきたことにまだ納得できていないし、自信を持てるほどの成果を出していないと思っているので、自己肯定するのはなかなか難しいです。例えば「自分が好きな野菜やお米を作って食べて生きている自分って、すごく幸せなんだよね」って言える人をすごく羨ましいと思うんです。でも役者の仕事の場合は、自分で納得しつつもさらに社会的評価がないと、自己肯定として還元されない。自分ひとりでエンジンをふかしながら自己肯定感を高め続けてしまうと、勘違いしてしまって危険だとも思うんです。だからもし僕が自己肯定感を上げるなら、自己ではなく他者、つまり僕の状況を理解してくれる誰かに褒めてもらうのがいいと思います。自分ではできないけれど、誰かとならできるはず。特に、仕事のサポートを続けてくれているマネージャーさんと、新しい仕事が決まった時に喜びを共有したり、今までやってきたことを振り返って「やっとここまで来たね」なんて話しながら実感することで、自己肯定感やモチベーションも上がるような気がします。そのためにも普段から人と喋ることを大事にしているんですが、僕のようにあまり自分に自信がない人は、近しい誰かから評価を得ることで自己肯定力に変えてみるといいかもしれません。自己肯定感にまつわる Q&AQ1. 自己肯定感は高いほう?A. 低いと思います。Q2. その理由は?A. まだ自信が持てないし、心に余裕がないから。でも間違った自己肯定により勘違いするより、謙虚でいたい。Q3. 落ち込んだ時の立ち直りは早い?A. 遅いし引きずります(笑)。Q4. ポジティブになるためのアイテムは?A. 気が悪いと思ったら香木をたいたり掃除をして、環境リセットします。Q5. 自分を褒めてあげたいのはどんな時?A. 褒めてあげられるほどの成果をまだ残していません。うえすぎ・しゅうへい1992年5月18日生まれ、東京都出身。ドラマや映画に出演し俳優として活躍する一方で、HIP HOPグループに所属し、音楽活動なども行っていた。10月公開予定の映画『八犬伝』に出演。シャツ¥28,600パンツ¥34,100ベルト¥8,800(以上MHL. TEL:03・5785・6445)中に着たシャツ¥35,200(ネズヨウヒンテン/にしのや TEL:03・6434・0983)サングラス¥23,210(レイバン/ルックスオティカジャパン カスタマーサービス TEL:0120・990・307)タンクトップはスタイリスト私物『ミス・ターゲット』結婚詐欺師のすみれが婚活を始めるという、ジレンマだらけのラブストーリー。和菓子職人の宗春と出会ったことで、初めて本気の恋にのりだすが…。ドラマ『ミス・ターゲット』は毎週日曜22:00~ABCテレビ・テレビ朝日系にて放送中。出演/松本まりか、上杉柊平、沢村一樹ほか※『anan』2024年6月5日号より。写真・野田若葉(TRON)スタイリスト・藤長祥平ヘア&メイク・AKEMI KIBE(PEACE MONKEY/松本さん)mayumi shiraishi(上杉さん)取材、文・若山あや取材協力・BACKGROUNDS FACTORY(by anan編集部)
2024年06月01日最終戦争後の荒廃した地球。正義感あふれる野生児・コナンが、世界征服を目論む組織に狙われる少女・ラナを助け冒険の旅に出る。宮崎駿さんが初監督を務めたことで知られるアニメ『未来少年コナン』。46年前に放送された名作を、世界的に活躍する演出家インバル・ピントがダビッド・マンブッフと共に舞台化を手がける。インバルというと、日本ではこれまでにミュージカル『100万回生きたねこ』や『ねじまき鳥クロニクル』などを、美しくファンタジックな舞台美術に、コンテンポラリーダンスの表現を取り入れた創造性の高い演出で、観客を釘付けにしてきた人。宮崎駿さんの46年前の初監督作。「想像の上のものが見られるはずです」「初めてインバルさんの舞台を観たとき、ひと言目が『なんだこれ、すっげぇ』でした。いろんな技術が出てきている今の時代に、新しい技術を取り入れながらも、舞台機構や装置、小道具、そして何より人の体というオーソドックスな手法を使って、こんなこともできるんだっていう想像外のものを目の前で見せてくれる。なるほどこれが鬼才と言われる理由かって思いました」と話すのは、本作でコナンを演じる加藤清史郎さん。インバル作品というと、フィジカルと舞台美術や照明などでシーンを舞台上に描き出し、それをつなぎ合わせることで物語を紡いでゆき、セリフもあくまでその要素のひとつという印象。これまでとはまるで違う表現を求められる現場にまだ戸惑っている様子。「作品自体は絶対に面白くなるんですが、そこに自分の名前が並んでいるのが、驚きとプレッシャーです(苦笑)。これまでも動く役はいろいろ演じてきましたが、俊敏さの種類が違って、しなやかさや伸びやかさが求められるというか…。事前にワークショップもあったんですが、何かの技を習得するというより、ひたすら自分の体を知って、その感覚を研ぎ澄ましていくことを求めていた感じです。すごいのは、同じ動きであっても質感を変えるだけで見え方が全然違うということ。例えば、バク転の動きをするとして、僕がやるとただのバク転になってしまうけれど、やる人がやれば、前から何かが来るのを避けてのけぞって後ろに下がるという動きに見えてくる。ただ自分ができてないので、しょげたりしょげかけたりしています」原作アニメは、SF冒険譚でありながら戦争の虚しさや人間の本質、人間愛なども描かれている。「一見ポップに見えるけれど、描いているものはすごく深くて重みがあります。’70年代に作られた作品だけれど、今を生きる僕たちが観てもしっかり届く。伝えたいメッセージを強い言葉で主張するんじゃなく、自然な形で人の心に訴えかけるのがすごいですよね。刺さるというより、染み込んでいくような…。この間、カンパニー全員で共有する時間があったんですが、インバルが、今の時代にこの作品をやることにものすごく意味があるし、僕らはそれを届けないといけないんだと話していて、本当にそうだなと思いました。今回の舞台も、アニメと同じように世界が壊れていくプロローグから始まります。そこをいろんな手法を使って見せていくんですが、最初は人の体だったものが徐々に別のものに見えてきたり、急に人じゃないものになったり。舞台なのにスクリーンを見ているような瞬間もあるし、縦だった世界が横になったり重力を感じさせない場面もあったり。想像を超えた世界が広がっているので、あらゆる世代の方に観てほしいですね」舞台『未来少年コナン』宮崎駿監督作、不朽の名作冒険アニメーション『未来少年コナン』(1978年)を舞台化。朽ち果てた地球の片隅、孤島「のこされ島」で野生児のように生きる主人公の少年・コナン(加藤清史郎)。ある日、謎めいた少女・ラナ(影山優佳)と出会うことで、島しか知らなかったコナンの世界は開き、予想もしない大冒険が始まる――。5月28日(火)~6月16日(日)東京芸術劇場プレイハウス原作/宮崎駿監督アニメ『未来少年コナン』演出・振付・美術/インバル・ピント演出/ダビッド・マンブッフ出演/加藤清史郎、影山優佳、成河、門脇麦、宮尾俊太郎、今井朋彦、椎名桔平ほかS席平日¥11,000、土・日曜¥11,800サイドシート平日・土・日曜ともに¥9,000ホリプロチケットセンター TEL:03・3490・4949大阪公演あり。かとう・せいしろう2001年8月4日生まれ、神奈川県出身。子役を経て、ドラマや舞台で活躍。近作に、ドラマ『最高の教師』、ミュージカル・ピカレスク『LUPIN ~カリオストロ伯爵夫人の秘密~』などがある。シャツ¥4,950パンツ¥6,930(共にCASPER JOHN)中に着たメッシュプルオーバー¥4,950(AIVER) 以上シアン PR TEL:03・6662・5525※『anan』2024年5月29日号より。写真・森川英里スタイリスト・金 順華(sable et plage)ヘア&メイク・入江美雪希インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2024年05月29日事故で記憶喪失になった緒方まことが、手元に残された指輪がぴったりとはまる男性3人と四角関係の恋を繰り広げる火曜ドラマ『くるり~誰が私と恋をした?~』。7話まで放送が終わり、物語は佳境へ。“本当の自分とは何か”を、演じながらも考えさせられる物語です。「火曜22時という枠なのでキラキラした胸キュン系のお話をイメージされる方も多いと思いますが、ミステリー要素もあり、“本当の自分を見つける”という人生で誰もが通るテーマも描かれています。私自身、毎回いろいろ深く考えさせられます」そう話すのは、まことを演じる生見愛瑠さん。現場を重ねるにつれ、キャラクターへの解像度が高くなっていったという。「まずは役の設定などを見て、自分の中で想像してから台本を読み、ある程度、役を固めていくのですが、現場に入ると全然違うものになることも少なくないです。だから、撮影が始まってすぐの頃は探り探りでドキドキしていたし、1週間くらいして、やっと役になりきれる感じがありました。記憶喪失になるという設定を重く捉えていたけれど、プロデューサーさんたちと話して、前向きで強い女の子像にしようということに。どんどん明るさを足していくうち、めちゃめちゃ明るい子になっていました(笑)。でも、そうしたことで、ピュアで真面目な女の子に映っていたので良かったです。台本を読んだ時には違和感があったセリフも、現場で他の共演者の方と演じるうちに納得できることも多いし、言いづらいと感じたセリフがあったら、その場で変更することも。みんなでいろいろと相談しながら、リアルタイムで作っていく、舞台のような作品だと感じています。難しいけれど、すごく楽しいです」まことを巡る3人の男性を演じるのは、瀬戸康史さん、神尾楓珠さん、宮世琉弥さんという豪華な俳優陣。「学校みたいな感じの、わちゃわちゃした現場です。みなさん、いい人ですが、神尾さんが群を抜いて変な人で(笑)。一番しゃべるし、大事なシーンを撮る直前に突然『オレンジ色が流行っているの?』と聞いてきてびっくりしたことも。でも、ムードメーカーぶりに助けられているし、明るい現場になっています」大変なシーンを撮影して疲れた時のリフレッシュ法も教えてくれた。「カロリーを使うからなのか、頑張った日はハンバーガーを食べます。どれだけ遅くなっても絶対に(笑)」近年、ドラマや映画への出演が続いている生見さん。演技の仕事への考え方にも変化があるという。「作品を重ねるにつれて役への向き合い方が変わってきたし、自分の意見を伝えられるようになってきて。それが、演じるお仕事の楽しさの一つになっています。バラエティに出ている私が演技をする、というところから、一人の“演じる人”として見られるようになってきたことで、プレッシャーを感じることもあります。でも、演技のお仕事は楽しくて大好きだし、ずっとやりたかったこと。これからも頑張りたいです」『くるり~誰が私と恋をした?~』記憶喪失のまこと(生見)が手元に残された男性用の指輪を手掛かりに、“恋の相手”と“本当の自分”を探すラブコメミステリー。まことの前に指輪がぴったりとはまる、自称元彼・西公太郎(瀬戸)、自称唯一の男友達・朝日結生(神尾)、自称運命の相手・板垣律(宮世)の3人が現れ、恋の四角関係を繰り広げる。毎週火曜22時~、TBS系にて放送中。ぬくみ・める2002年3月6日生まれ、愛知県出身。『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)、『トークィーンズ』(フジテレビ系)をはじめレギュラー番組多数。映画『モエカレはオレンジ色』などに出演。愛称は「めるる」。※『anan』2024年5月29日号より。写真・土佐麻理子スタイリスト・伊藤ミカヘア&メイク・榊ひかるインタビュー、文・重信 綾(by anan編集部)
2024年05月28日倉科カナさん演じる三角鹿乃子(みすみ・かのこ)は、戸馳灯(とばせ・あかり/安達祐実)、波多浦仁(はたうら・じん/渡邊圭祐)と“猫好き”から縁を結ぶ。友達とも家族とも違う関係性のこの3人が、猫と共に一つ屋根の下で暮らすという物語。偶然にも物語の舞台となった熊本出身で、私生活でも猫を飼っている倉科さんは、同名の原作漫画を読んだ時に「すごく親近感を覚えた」そう。鹿乃子のセリフによって自分の迷いを受容できた気がしました。「映画は熊本地震から始まるのですが、私は実際に地震が起こった2016年当時、それを経験したわけではありません。でもその時の状況や熊本の方々の心情はわかっていたつもりです。猫も飼っているので、地震が起きた時の動物の動きや、飼い猫にどう接したらいいかなどの気持ちの準備もできていて。その経験がお芝居に生きたと思っています」ほのぼのと描かれた3人と猫との日常生活が見どころでもある今作。撮影現場の雰囲気についてこう話す。「幼い頃から活躍している安達さんは役者の大先輩。現場では流れるように心地いい空気感を作っていただきました。人見知りの渡邊くんは、そのまま演じているだけでもう仁で。3人の絶妙なバランスは自然に作られていったと思います。監督はお芝居から生まれる空気感を大事に撮ってくださる方で、出会いのシーン以外はほぼリハーサルなしの一発撮りで進みました。私たちは控室が一緒で、たわいもないことをよくしゃべっていたのですが、渡邊くんが猫の待機部屋にしょっちゅう行っていたのが印象的でした」役者を虜にした猫たちもまた、この物語に欠かせないキャストだ。「もちろん思い通りにならないので大変でしたが、それよりも可愛いが先にきていました(笑)。メインのミカヅキはすごく美しい子で、灯の愛猫のまゆげは人見知りもせず、誰よりも人たらし。現場のみんながその可愛さに翻弄されていました」鹿乃子は35歳の精神科医。心理が見えにくくミステリアスな印象も持つが、どのように演じたのだろう。「原作ではもっと鹿乃子の人間性について描かれているのですが、映画ではその部分が割愛されていたりもしたので、原作から彼女のバックグラウンドを自分なりに汲み取りながら演じました。陽の2人に対して、やや陰の雰囲気を纏う鹿乃子を演じるのは少し難しかったかな。もともと私は、活発な性格なんです(笑)。完璧そうに見える鹿乃子ですが、部屋の片付けや料理が苦手な一面もあって、そのギャップが魅力のひとつ。表面上は理論的でも、実は内側に感情が渦巻いていたりもします。仕事柄、他人を客観視できる人でもあり、心に響く名言も多くて。たとえば、私は36歳になりましたが、それまで想像していた36歳とはかけ離れていて。まだまだ大人になりきれていない…なんて思っていたけど、鹿乃子が夜空の三日月を見た時の『欠けているんじゃない。満ちる途中』というセリフのおかげで自分自身の迷いもすべて受容できた気がしたんです。私のように迷える現代人は多いと思いますが、この映画はそれらを優しく包んで癒してくれるはずです」『三日月とネコ』原作は、「第1回anan猫マンガ大賞」で大賞受賞のウオズミアミ氏の『三日月とネコ』(集英社マーガレットコミックス)。出演/安達祐実、倉科カナ、渡邊圭祐、小林聡美、山中崇ほか5月24日より全国公開。©2024映画「三日月とネコ」製作委員会©ウオズミアミ/集英社くらしな・かな1987年12月23日生まれ、熊本県出身。映画『あいあい傘』、ドラマ『隣の男はよく食べる』(菊池風磨とW主演)など主演作多数。テレ朝系列にて放送のドラマ『霊験お初~震える岩~』に出演。カーディガン¥128,700Tシャツ(3枚セット)¥83,600パンツ¥147,400(以上MARNI/マルニ ジャパン クライアントサービス TEL:0120・347・708)ピアス¥28,000ネックレス、ボールチェーン¥35,000ハート¥31,000(以上LORO/ロロinfo@loro.tokyo)※『anan』2024年5月29日号より。写真・木村心保スタイリスト・道端亜未ヘア&メイク・渡嘉敷愛子インタビュー、文・若山あや(by anan編集部)
2024年05月28日出会った女性がネタの源。そんな横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、みんなで盛り上がる場を作れる女性、「タコパ好きの女」になりきり。人を喜ばせようとするママ友の気持ちに感動!先日、ママ友から「私、無類のタコパ好きなんですけどタコパしませんか?」と声をかけられて、その誘い文句に痺れました。というのも、タコパが嫌いな人に出会うことが、なかなかなくて。そんな世界における「無類のタコパ好き」ってどんな人なんだろうと興味がそそられたこともあり、二つ返事で「やりましょう!」と答えました。その方は、「上手なわけじゃなくて、ただ好きなだけなんです」と言っていたのですが、当日、「としのぶさん家の粉」という、たこ焼き用の粉が準備されていて。「粉からこだわっていて、いろいろなものを試してみたくて、今日はこれを買いました」と話すのを聞き、本当に無類のタコパ好きなんだなぁと実感。さらに、まるで料理番組かのように、タコをはじめ、ソーセージやネギ、モッツァレラチーズなどが器に用意されていた上、たこ焼きを回すピックなどの道具も充実していました。出来上がったたこ焼きは本当に美味しく、なにより子どもたちが驚くような勢いで食べていて。こだわって作ったものの美味しさは、ちゃんと伝わるんだと感動しました。これまで知らなかったタコパの世界を見たような気持ちに。ちなみに、ママ友の冷蔵庫には色々な種類のビールが並び、「うどんが食べたかったら作るよ」という一言が飛び出すなど、人の要望に応えて喜ばせたい気持ちが伝わり、本当にすごいと思いました。タコパ好きな女になるには、ただの食事会ではなく、一つのイベントをやるんだ!という気持ちで臨むとモチベーションが上がり、楽しく取り組めそう。タコパはイベント性があって会話もしやすいので、たとえ初対面の人がいても盛り上がりますよね。これからは、私も人が集まる時にやってみようと思っています。よこさわ・なつこ芸人。“ちょっとイラッとくる女”のモノマネで大ブレイク。バラエティ番組やCMで活躍中。2023年6月に第三子を出産。※『anan』2024年5月29日号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2024年05月27日ベテラン俳優でありながら、どこか軽やかでチャーミングな光石研さん。16歳で映画デビューしてから俳優一筋。その魅力の根源を探ります。スタジオの前にクラシックなベンツが停まっていた。聞けば光石研さんがご自身で乗ってこられたのだという。可愛らしさの中に武骨さもあり、おしゃれで品がいいけど、どこかやんちゃな親しみやすさも感じる、まさにご本人の印象そのまま。上梓したばかりのエッセイ『リバーサイドボーイズ』にも、そんな魅力的な人柄が滲み出る。――エッセイが軽妙で読みやすく、オチもあり面白かったです。いやいや、文章を書くのは一番苦手かもしれないです。雑誌を読んだりするのは好きですし、イラストを落書きしたりするのも好きなんですけれど、文学的なアプローチはしたことがなくて。――もともと西日本新聞で連載していたエッセイですが、連載をお引き受けになられたのは…?お話をいただいたのが、コロナ禍の最初の年だったんです。3月の終わり頃に次々と撮影が止まって、何していいかわからないってなってたときだったから、じゃあやらせてくださいって。そこからコロナ期間中は、九州の友だちに「あの店、なんて名前だっけ?」とかリサーチしたり、2か月半はこれで過ごさせてもらって本当に助かったんですよね。――北九州での青春時代から、仕事、日常生活についてなど、さまざまなテーマで書かれています。ご自身を振り返る機会も多かったと思いますが、あらためて気づいたことなどはありました?そんな深い内容でもないんですけど…(笑)。ただこの歳になって、このエッセイもですが、俳優という仕事以外のアプローチをするってことが増えてきて、それが自分にとってすごく刺激になっています。僕が俳優になったのは’70年代の終わりですが、その時代って、演じることこそが俳優の仕事で、他のことをやるなんて、みたいなことを言われる時代だったんですよね。だからあれから40年経って還暦間近のいい時期に、新たなジャンルのお仕事の話をいただけてありがたかったです。――今、歌やバラエティなどでも活躍する若い俳優さんが増えていますが、それこそ若いうちは俳優業に専念したほうが…なんて思われたりは?全然ないですよ。だって自由にやったほうが絶対いいにきまってるんだから。バンドをやって映像を撮って、芝居をやって、みたいな若い方いらっしゃるじゃないですか。僕からしたら、そういうたくさん肩書を持てる人たちがすごく羨ましいし、かっこいいなと思います。僕だってできればやりたかったですよ。歌だって、うまかったら歌いたかったですし。――そういう世代を見て羨んだりすることはありますか?ありますよ。僕らは抑圧されていた世代ですから、今の若い方が自由にやってるのは羨ましいです。――光石さんにとっては、厳しくても楽しいのが俳優業だと思うんですが、ここまでずっと楽しいと思ってこられたんですか?エッセイにも書いているんですが、ある種、俳優業というものに就職した感覚なんですよね。何かを観て雷が落ちたようにビビッときてこの道を目指した、というんじゃなく、たまたま映画に出させてもらって、それがデビュー作になったんです。現場がすごく楽しくて、それでお給料ももらって、こんな面白い職業があるんだって感じでした。その当時、アルバイトもしたことがなかったし、単純ですよね。だから、演じたいという気持ちより先に、“たまたま経験した映画の現場が楽しかったから、またあそこに行きたい”だったんです。まあ、そこからが大変ではあったんですけれど(笑)。今もあのときの、みんなでワーワー言いながら作ってた楽しさを、また体験したいっていう想いで続けている感じです。――不安とか、辞めたいと思ったことはないですか?全然考えてなかったです。世間知らずだったんでしょうね。決めたのが16歳ですから。そこから1年半で高校を卒業して上京しましたが、なんとかなると思ってました。30代の頃に食べられなかった時期はありましたけど、辞めて他の職業にっていう発想がなかったんです。他を知らないっていうのもあったと思いますが、保証は何もないのに、なんとかなると思ってたんですよね。でもさすがにコロナの時期は、根源的に不要不急な職業なんだと思わされましたが。――先ほどもそうおっしゃっていましたが、コロナで多くの人が家から出ない生活を送っていたときに、心の拠り所になったのが映画やドラマの存在だと思います。確かにみなさんが過去の作品を見て喜んでくださってはいたし、その作品に携われたことは幸せに思うけれど、あくまで撮影チームみんなで作ったものですから。これが舞台俳優さんだったら、ひとり芝居とかも提案できるんだろうけど、僕みたいな映像が主な俳優は、現場を用意してもらって、カメラがあって、撮ってくれる人がいないと何もできないんだなって、身につまされましたよね。――エッセイの中でも「俳優を映しているんじゃなく映画を撮っているんだ」とありましたが、この人が演じているこの役だからこそ出せたもの、というものが確実にあると思うんです。もちろん若い頃は、自分がやることでこの映画が何かになるんだと思ってたこともありましたが、今はそういうことはなくなりましたね。だから例えば、僕の役が褒められれば嬉しいけれど、言われた通りやっただけだしなって思うから、監督に言ってあげてくださいってなる。逆に、あれはよくなかったって言われても、監督に言われた通りやっただけだからって思える。もちろん奮起はしますけど、それくらいの感じです。――では、演じるやり甲斐をどこに置いていますか?ワンシーンを成立させるということですね。最近は宣伝活動にも参加させてもらっていますから責任はありますが、その映画がどうなるかは僕が考えることじゃないというか。僕の仕事はやっぱり、現場で知恵を出し合ってワンカットを成立させることで。オールアップになったら完結なんです。――映画は監督のもの、という意識でいらっしゃるんですね。とはいえ、完成すればやっぱり自分のことも気になるし、映画の評判も気になりますけどね。基本的に自分が面白そうだなって思えるかどうか。――若いクリエイターの方とお仕事されたり、インディーズの映画にも出演されていますが、現場に対するこだわりはありますか?職業なので、いただいたお仕事はやるというのが前提ですけど、どこの現場にも、初めてのときのような面白さが味わえたらと思って向かっています。だから監督が若いとかベテランとかはあまり関係なくて、基本的に自分が面白そうだなって思えるかどうか。若い監督で、目から鱗の演出をされる方もいますからね。ある作品で、「ミカンを頭に乗っけてしゃべってください」って言われたことがありました。最初は驚いたけど、その監督の言うようにやってみようと思えた。なぜかはわからないけれど、きっと長年やってきた勘どころみたいなもので信頼できると思えたんでしょうね。――面白いと思えるかどうかの基準のようなものはありますか?それはないですかね。同じような役が続くと、違うのもやりたいなって思うくらいで。そもそもやりたいと思ってもお仕事が来ないことには何もならないので、そこは流れに任せて。ずっと舞台はやらないと言ってきたけど、突然お話をいただいて決めちゃったりもしましたし。だから、同じような役が続いても、面白そうってなればやるかもしれないし。僕みたいな脇役の俳優は、役や作品に固執していくと仕事がなくなっていきますから、軽やかにいないとという思いはちょっとあります。――監督から求められたとしても、それはちょっとできないとおっしゃる場合もありますか?そういうときもありますね。へんなもので、相手のことを面白い人だなと思っていると、突拍子もないことを言ってきてもやってみようと思えたりするし、それをやってどうなるんだろうって?って思うような相手だったらやらないだろうし。初対面だけど、この人とは肌感覚で合うなとか合わないなって思うことあるじゃないですか。そんな感じで、この人が言うならやってみようと思えれば、どんなこともやりますよ。――今、映画作りの現場も変わってきていますが、そのことについても少し伺っていいですか?正直、あまりに問題が大きすぎて、片隅にいる僕なんかが言えることじゃないですけど、映画ってたかだかできて100年くらいのものではありますが、耐久性のあるメディアだと思うんですよ。だからせっかく撮るならば、先の時代に残すつもりで撮ってほしいし、そういう現場に出合いたいという気持ちはあります。あまりにも気軽に誰でも撮れちゃう時代だからこそ余計にね。でも本当にわからないです。僕が始めた頃はフィルムで撮るのが映画だと教わってきたけれど、それも変わりましたしね。ただ、何で撮ろうとも、これは映画だなという肌触りというか、手触りを感じる現場っていうのはあって。たぶんそれって、監督が映画というものとどう対峙しているかってことな気がするんです。それを周りのスタッフも自ずと感じとって、現場に伝染していく。それがいい現場なのかなって、僕なんかは思うんですよね。光石研さんのプライベートエッセイ『リバーサイドボーイズ』は現在発売中(三栄/1760円)。2021年から’23年まで西日本新聞に連載したエッセイを再構成し、「思い出の街への撮り下ろし紀行」と「リリー・フランキーさんとの地元トーク」を新たに加えた一冊。北九州での青春時代、家族、俳優業についてなど、軽妙な語り口で綴られている。みついし・けん1961年9月26日生まれ、福岡県出身。高校在学中にオーディションで映画『博多っ子純情』の主役に抜擢されデビュー。以降、さまざまなドラマや映画に出演し、名バイプレイヤーとして活躍。現在放送中のドラマ『Re:リベンジ‐欲望の果てに‐』に出演するほか、出演映画『ディア・ファミリー』は6月14日公開予定。カーディガン¥31,900(ペレグリン/ビームスF TEL:03・3470・3946)その他はスタイリスト私物※『anan』2024年5月29号より。写真・向後真孝スタイリスト・下山さつき(クジラ)ヘア&メイク・大島千穂インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2024年05月26日モーニング娘。’24の牧野真莉愛さんが、美脚見せを叶える黄金バランスのコーディネートにトライ。すらりと美しい脚をキープするために実践していることや、秘訣も伺いました。ウエストマークトップス×パラシュートパンツ視線を上げるトップスを選べば、ゆったりパンツでも美脚を狙える!パラシュートパンツはトレンドボトムスの筆頭格。こちらは丸みのある立体的な形が、脚のラインをカバー。「ボリュームのあるパンツはバランスに悩みがちですが、メリハリを意識すれば攻略できる。胸下で絞れるフィット&フレアなシルエットのトップスは、視線を上に誘導できて下半身の印象がすっきり。腰位置も高く見えます」(スタイリスト・岡本さなみさん)ノースリーブ¥27,500(ユノイア/ビショップ TEL:03・5775・3266)パラシュートパンツ¥16,940(メゾンスペシャル/メゾンスペシャル 青山店 TEL:03・6451・1660)シューズ¥10,780(ル タロン/ル タロン 有楽町マルイ店 TEL:03・6738・3731)ハット¥15,400(キジマ タカユキ/ビショップ)レースタイツ¥3,080(アイ ヘイト マンデイ/レイ ビームス 新宿 TEL:03・5368・2191)ビッグジャケット×ミニスカート華奢な脚を演出する、メンズライクなサイジング。中途半端に隠すよりも、思い切って見せてしまうのも、脚を美しく見せるひとつの方法。マニッシュなジャケットに合わせれば、ミニスカートもトライしやすい。「ポイントになるのは“対比効果”。このジャケットは、ゆったりとしたボックスシルエット。裾からギリギリ覗く丈のミニスカートを選ぶと、ジャケットの幅と脚のコントラストが強調され、脚が細く見えます」ジャケット¥67,100(フミエタナカ/ドール TEL:03・4361・8240)シャツ¥31,000(バウム・ウンド・ヘルガーテン/S&T TEL:03・4530・3241)スカート¥20,900(サムソ サムソ/eight TEL:03・4530・3240)パンプス¥35,200(ロドリリオン/ネペンテス ウーマン トウキョウ TEL:03・5962・7721)ストレッチスカート×ウェッジソールサンダルタイトスカート×高ヒールで縦のラインをしっかり強調。縦長ラインを主張できるタイトスカートは、スタイルアップの強い味方。選ぶ時は質感に注目したい、と岡本さん。「このスカートはストレッチが利いていて、お尻のラインをきれいに見せてくれる。同時に落ち感もあり、ももから下は流れるようなシルエットで裾から出る脚がすらりとした印象に。足元はボリュームのあるウェッジソールが好相性。脚長効果も抜群です」タンクトップ¥8,800(サムソ サムソ/eight)スカート¥36,300(バウム・ウンド・ヘルガーテン/S&T)バッグ¥24,200(ヴィスク/S&T)セーラーハット¥15,400(レ ヴァカンス デイリーナ/ビショップ)サンダル¥55,000(アツシ ナカシマ/THE PR TEL:03・6803・8313)リング¥45,100(エネイ/エネイ松屋銀座 TEL:03・3566・2139)ニットタンク×ジャンプスーツメリハリレイヤードで、ヘルシーな美脚を演出。ハリのあるコットン生地のジャンプスーツに重ねたのは、透け感のあるモヘアニットのショート丈タンクトップ。「清潔感のあるシャツ生地のアイテムなら、脚見せもチャレンジしやすいのでは。ブルーのニットでアクセントを置くことで、視線が上に集まります。鮮やかな色のショート丈トップスは、トレンド演出にもバランス調整にも重宝しますよ」ジャンプスーツ¥49,500モヘアシアータンク¥33,000コットンツイルタイ¥17,600(以上オーラリー TEL:03・6427・7141)サンダル¥41,800(フミエタナカ/ドール)クロップドシャツ×マーベルトパンツウエストラインを主張して腰の位置を高く見せて。本来ウエストの内側にあるマーベルトをデザインとして施した“マーベルトパンツ”は、美脚演出にも一役買ってくれる。ショートパンツとトラウザーズを融合させたようなデザインで、スリットからさりげない肌見せができる。「トップスにクロップド丈を選べば、マーベルトの存在感が際立ち、視覚効果で腰位置がより上がって脚長に見せられます」シャツ¥12,100ショートブーツ¥25,300(共にレイ ビームス/レイ ビームス 新宿 TEL:03・5368・2191)パンツ¥55,000(テーロプラン/テーロプラン カスタマーサポートcustomer@teloplan.co)サングラス¥37,000(ジェントルモンスター/エム TEL:03・6721・0406)バレエで鍛えた体幹を意識して生活しています。モーニング娘。’24の牧野真莉愛さんは、ステージ上でもひときわ目立つ美脚の持ち主。そのすらりと長い脚は、ミニ丈やタイトなボトムスが見事なほどによく似合う。「脚を褒められるなんて恐れ多いですが、嬉しい!美脚ファッション、実は普段から意識していて、今日の私服も胸下切り替えのワンピース。服を買う時は脚が長く見えるデザインを選ぶことが多く、今回のスタイリングはとても参考になりました。特に好きだったのが、タイトスカートのコーディネート。お尻が大きめなのがコンプレックスで、シルエットが出るピタッとしたスカートはあまりはかないんですが、“隠さず、かわいく見せちゃえばいいんだ!”という新たな発見がありました」細いだけでなく、ほどよく引き締まった牧野さんの脚。努力の賜物かと思いきや、トレーニングは特にしていないという。「ただ、普段から体幹を使うようにしています。子供の頃からバレエを長く習っていたので、インナーマッスルが鍛えられ、使う感覚もつかめている。モーニング娘。のライブって、踊りながら何度も段差を上り下りするんですよ。その時にコアを使わないと、外側の筋肉が発達して、太ももやふくらはぎが張ってどんどん太くなってしまうから、上半身から体を引き上げることを意識しています。上半身の体幹を使うことで、下半身も正しくきれいに筋肉がつくと思う。あとは骨盤を立てて生活するのも大事。バレエをやめてからその意識をせずにいた時期もあったのですが、やっぱり体のラインが良くない方向に変わってしまって。今は立つ時も座る時も、骨盤を立てるイメージで正しい姿勢をキープ。それを習慣にするだけで、脚もお尻もシルエットがきれいになるから、姿勢は侮れないんです」特別なボディメイクではなく、日々の心がけが美脚を作っている。そう思わせるもうひとつの習慣が、お風呂。「どんなに疲れていても、いくら眠くても、遠征先のホテルでも、絶対入ります!湯船に浸からないことがあったとしても年に1度あるかないか。入浴剤は芯から温まる『ホットタブ』が好き。一日の終わりに疲れをリセットしたいから欠かさず入浴していますが、結果むくみも解消できているのかも。入浴後はボディクリームを塗りながら軽くマッサージします。食事も好きなものを食べちゃうし、ストイックな性格ではないけど、お風呂とか姿勢とか、無理なくできることはコツコツやるタイプです」牧野さんが自身の脚で好きなのが、足の甲の部分だとか。「もっと足首からふくらはぎのカーブがなめらかだったらな、とか太ももがシュッとしていたら、とか悩みは尽きないけど、細長い甲の形は気に入っています。それもあって、サンダルが大好き。『ドクターマーチン』の厚底サンダルは履き心地がラクだし脚が長く見える。キティちゃんのコラボモデルを愛用しています。この夏も新しいのをゲットできたらいいな」まきの・まりあ2001年2月2日生まれ。愛知県出身。モーニング娘。’24として音楽フェス「The MusiQuest 2024」の7月21日に出演。グラビアやバラエティ番組でも活躍。写真集『Dear MARIA』(ワニブックス)が発売中。シャツ¥47,300(フランク&アイリーン)デニムパンツ¥39,600(マザー)共にリトルリーグ インク TEL:0800・100・2274シューズ¥8,800(ルデコレ/ル タロン 公式オンラインストア)ネックレス¥25,300(マルコ アルヴィソ)バッグ 各¥34,100(共にロドリリオン)以上ネペンテス ウーマン トウキョウ TEL:03・5962・7721バングル¥44,000左手のリング¥97,900右手のリング¥37,400(以上エネイ/エネイ松屋銀座)岡本さなみさんスタイリスト。本誌をはじめ、雑誌や広告、アーティストのビジュアルなど幅広く活躍。上品でさりげない遊び心を感じさせるスタイリングが、ジャンルを超えて支持を集める。※『anan』2024年5月29日号より。写真・牧野楽人(TRON)スタイリスト・岡本さなみヘア&メイク・鈴木かれん取材、文・間宮寧子(by anan編集部)
2024年05月26日謎の組織「黒い幽霊団(ブラック・ゴースト)」により、戦争兵器としてサイボーグに改造された、年齢も性別も人種も様々な9人が、自らの運命に逆らい平和のための闘いに挑む。漫画家・石ノ森章太郎さんが描いた『サイボーグ009』は、誕生から今年で60年。それを記念して初の舞台化が決定。タイトルロールのサイボーグ009こと島村ジョーを演じるのが七海ひろきさん。「パフォーマンスもふんだんに盛り込まれた楽しい作品に」「原作を読んでまず感じたのは、いろんなテーマが詰め込まれた作品だということでした。サイボーグに変えられたみんなの、心は人であるのに肉体は機械だという葛藤もありつつ、友情や親子にとどまらずいろんな愛が描かれてもいる。いろんな気持ちになるし、考えさせてもくれる作品だなと思いました。今回の台本も読ませていただいたのですが、ブラック・ゴースト側に従うサイボーグ0010の+(プラス)と-(マイナス)のふたりと戦うのが物語の主軸となっています。ふたりの兄弟愛も感じられますし、ダンスやアクションの分野で世界的に活躍されている方々が出演されて、お芝居だけでなく歌やダンスといったパフォーマンスもふんだんに盛り込まれるはずなので、感覚的にも楽しい作品になるんじゃないかと思います」ゼロゼロナンバーを背負ったサイボーグ戦士たちは、全身に武器が仕込まれていたり、口から高熱火炎を放射したり、飛行できたりと、ひとりひとりが特殊な能力を持つ。七海さん扮する009は加速装置で高速移動が可能。アクションシーンは、ダンスなども駆使しながら見せていくそうだが、SF的な設定がどう舞台で表現されるのかも楽しみ。「演出の植木(豪)さんが以前手がけた舞台『進撃の巨人‐the Musical‐』を拝見したのですが、それが素晴らしかったんです。冒頭から作品の勢いを感じさせてくれましたし、ダンスで構成した場面の見せ方も素晴らしくて場作りが巧み。展開は早いんだけど、お客さんを置いていかない演出家さんという印象があります。植木さんなら、キャラクター全員が魅力的に見えるよう作ってくださるはずだと信頼していますので、私はやれることを全力で精一杯やるのみです」島村ジョーといえば、スマートな容姿に加え、正義感が強く優しい人柄もあり、多くの人が憧れるキャラクター。宝塚歌劇団で男役として活躍した七海さんの009に扮した写真が解禁されると、原作漫画とまた違う凛々しい姿が大きな話題に。「島村ジョーが初恋の人だったとおっしゃる方もいるくらい人気のキャラクターだけに、イメージを壊さないようにというプレッシャーはあります。彼が戦うのは自分のためではなく、仲間だったり誰かのためであって、優しさが全面にある人。戦闘能力が高い一方、相手を傷つけたくないと葛藤する精神もカッコいい。私としては、ジョーとしてカッコよくいることが課題です」個性的なキャラクターが揃う作品だけに共演陣も多彩。音波(おとは)みのりさんや声のみの出演の天華(あまはな)えまさんなど、宝塚時代から縁のある面々も。「音波さんとは、出演が決まったときから、お互いにいろいろ情報交換をしていました。退団してまたこうして縁が繋がることが嬉しいです」宝塚退団後も、垣根を越えて様々な役柄に挑戦。これまで誰も歩いてこなかった道を伸びやかに切り拓き、新たなファン層を獲得している七海さんの姿は清々しい。「チャレンジが好きなんでしょうね。退団当初はうまくいかないことも多くて、ぐるぐると考えてしまった時期もありました。でもそういうとき必ず、ファンの方や周りの方が助けてくれて今がある。退団するときに、変わらないために変わり続けたいという挨拶をしたのですが、5年を経た今、その言葉があらためて自分にしっくりきています」舞台『サイボーグ009』世界に戦争を引き起こす死の商人の組織に誘拐され、兵器となるべくサイボーグに改造された島村ジョー(七海)。しかし組織に反旗を翻し、同じ志を持った仲間たちと世界平和のための闘いに挑んでゆく。5月18日(土)~26日(日)東京・日本青年館ホール原作/石ノ森章太郎演出/植木豪脚本/亀田真二郎出演/七海ひろき、天華えま(声の出演)、高橋駿一、音波みのり、里中将道、桜庭大翔、酒井敏也、川原一馬、Toyotaka、滝澤諒、相澤莉多、中塚皓平、大高洋夫ほか全席指定1万2500円Mitt TEL:03・6265・3201(平日12:00~17:00)©石森プロ©舞台「サイボーグ009」製作委員会ななみ・ひろき1月16日生まれ、茨城県出身。2003年、宝塚歌劇団に入団し、男役として活躍。’19年の退団後は、俳優、歌手、声優など幅広く活動し、昨年には舞台プロデュースも手がけた。※『anan』2024年5月22日号より。写真・小笠原真紀インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2024年05月22日出会った女性がネタの源。そんな横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、人の空気を硬度で表現する女性、「硬度で褒める女」になりきり。辞書を引き、いろいろな形容詞をインプットして。この間、「雰囲気が柔らかい方ね。でも、意思は固いのね」と、“硬さ”を表す言葉で褒めてくれた方がいたんです。最初は、そんな人がいるんだとびっくりしたものの、見た目ではなく、纏っている空気感みたいなものを評価された感じがして、すごく嬉しい気持ちになりました。それに、言われたほうが嫌な気持ちになることのない、失礼が一切ない表現だなと感心もし、私も人柄を褒める時に真似してみたいと思ったんです。「すごくいい人ですね」のようなフレーズと比べると、少し具体的な感じもしますよね。硬度に関する表現でいうと、お茶などの感想として「口当たりが柔らかい」と言うこともあるし、エステを受けた時の「肌が柔らかくなっていますね」とか、美容院で言われる「頭皮が柔らかいですね」もポジティブな意味合いです。また、「ソフトな」「ハードな」という言い方もできますよね。硬度のほかにも、人や場の空気感を表す言葉はたくさんあって。たとえば、劇場で全然ウケなかった時は、芸人同士で「今日はしっとりしたお客さんだね」と、湿度で表すことも。そういう表現は、相手を傷つけないだけでなく、文学的な感じがするし、奥行きも出ます。ほかにもいろいろな表現を考えてみたりもしたのですが、日本語って本当に面白いなと思いました。空気感をいろいろな言葉で表すためには、言葉を知ることがポイントに。まずは辞書を引いてみて、いろいろな形容詞をインプットすると、普段使える褒め言葉のバリエーションを増やせると思います。また、たとえば「柔らかい」「硬い」など自分がよく使う形容詞を辞書で調べて、多様な意味を学ぶことで、よりいろいろな場面で使うこともできるようになりそう。言葉と向き合ってみましょう!よこさわ・なつこ芸人。“ちょっとイラッとくる女”のモノマネで大ブレイク。バラエティ番組やCMで活躍中。2023年6月に第三子を出産。※『anan』2024年5月22日号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2024年05月19日常に“楽しいから始まる学び”と向き合いコンテンツを発信する、QuizKnock。“クイズ王”こと伊沢拓司さんを筆頭に、河村拓哉さん、須貝駿貴さん、山本祥彰さんの4人のメンバーに、日頃の学習方法やアンテナの張り方、新しい分野に飛び込むときの心構えを聞いてみました。QuizKnockが語り合う学びの深め方と、クイズという競技の魅力。左から、河村拓哉さん、山本祥彰さん、伊沢拓司さん、須貝駿貴さん――「学び」を面白がる、好きになるにはどうすべきでしょう。伊沢拓司(以下、伊沢):最初の一歩目って大事だよね。須貝駿貴(以下、須貝):うん。「できないから学ぼう」って思いがちだけど、その前に「できること」があると思うんですよね。まずはそこから手をつけてみる。山本祥彰(以下、山本):「ちょっとだけ難しいことをする」も大事かな。できないと思ってたことができるようになると嬉しくて、もっと学ぼうと思える。伊沢:“成長”はキーワード。苦手な学びをいきなり好きにはなれないよね。学び自体が好きじゃなくても、そんなことを頑張れてる自分が好き、自分の成長が好き、で十分いいよね。山本祥彰(以下、山本):実際、好きでやってることの多くが実は学びだからね。須貝:そう。上手にコーヒー淹れられるようになりたいとかね。先日もセラミックのコーヒーフィルターを買ったんだけど、どう見ても石なんだが?本当に水が通るのか?って気になって色々調べて。伊沢:それが学びですよ。河村:人と比べないことも大事かなと。競争して伸びることもあるけど、学び始めたばかりで誰かに挑んでも得しない。自分で満足できたらいいから、ひとりでコツコツやることを不安がらないほうがいいかな。――クイズを使って学びを深める面白さはどんなところにありますか?伊沢:クイズは新しい知識や側面を知るきっかけになる。知識ランダムガチャとしてめっちゃ優秀なんですよ。もちろん知ってることの確認もできる。知への営みの一歩目ですね。河村:遊びながら「ああ知らんかったなあ」と思えるのがいいですよね。早押しで押し負けたとしても。山本:僕はクイズによって、作り手の人生を共有できるところが好きで。自分では辿り着けないところに目線を向ける人がいるから、こんな世界もあるのかと知ることができる。須貝:漫画とかアニメの得意な問題が答えられないと、めちゃくちゃ残る。そういうときは学び直しというか、もう一回全巻読んどくかって。記憶のチェックポイントにもなるね。伊沢:共有の楽しさですよね。会話もクイズも知識の共有だし。「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」と「God knows…」の2曲は両方シンバルで始まるけど、少し違うとか(笑)。――得意ジャンルとそうでないジャンルでは学び方は違いますか?伊沢:僕はモチベーティングの基本は「興味」か「必要」だと思っていて。好きな分野は興味がドライブするからスムーズに学べるぶん、エコーチェンバー(似た価値観の人が交流することで特定の意見や思想が増幅する現象)に陥らないよう自制しないとダメですけど。苦手分野は好奇心を補うか、必要に駆られるかですね。詳しい人に聞いて興味の度合いを上げるか、来週のプレゼンまでに覚えようって切迫度を上げるか。河村:苦手だとなんで勉強しなきゃいけないのかなと思ってしまう。そういうときはとりあえず触れます。野球なら、試合中継をつけてぼーっと眺める。あえて近寄らず、受け入れられるまで置いておく感じです。伊沢:わかる。オリンピックもそうだよね。なんとなく見てると覚える。頑張らなくてもいい。山本:僕も「スポーツナビ」ってアプリで通知だけ受け取ってる。何度も見る選手は頭に入るから、それがクイズに活きることも。須貝:QuizKnockにいるからには、中学社会くらいは完全でありたい気持ちはある。ただ名称を覚えるのが苦手だし、“本当に必要?”って思うとできない。平安時代の売官の制度に「成功(じょうごう)」っていうのがあるんだけど、今もなかなか出てこない。最悪覚えなくてもいいかって。山本:僕はなるべく得意なところから入るようにしてる。歴史の流れを掴むのは苦手だけど、クイズは答えたいから年号で覚えようと。1555年なら厳島の戦いか、アウクスブルクの和議とかかなって。伊沢:ムズめの二択だな(笑)。須貝:好きなものと関連づけるって大事だと思う。僕はルールが好きだから、この世紀に資源の取り合いをしたはずだ、という点で押さえたり。伊沢:まさにそのやり方で世界史を勉強したなあ。因果を考えて出来事を結んでいったから、用語暗記だけじゃない学びができた。河村:僕は徳川家光は名前に「みっつ」が入ってるから3代将軍って頭に叩き込んだので、もう因果でもなんでもない(笑)。山本:あるよね。家定は「さ」が付いてるから13代とか。伊沢:粗い覚え方(笑)。須貝:逆パターンっていう危なっかしい覚え方もあって、イギリスのヨークシャー地方は「よくシャーッと雨が降るの逆」だから雨が降らない。河村:それは危険!逆パターン方式は本当に訳がわからなくなるから僕はやらないようにしてます!――(笑)。そんな皆さんでも、スランプってあるんですか?伊沢:何度か不調はありました。QuizKnockがノッてきた頃は多忙でクイズをする時間が減り、クイズ王という立場と実力が乖離したことも。でも理由は明確で「時間がない」だったので、解消したら戻りました。スランプと感じたら、まず原因を探ることが大事だと思います。須貝:僕からするとやってないだけじゃない?とも思うな。やってないからできないだけで、やったら絶対できる。「あれだけやったのに」と言う人もいるけど、できている人と同じだけやったの?って思う。目に見えてすごい人は信じられない量やってることが多いです。山本:僕も漢検1級に落ちたときはきつかったけど、どう乗り越えたかっていうと、めっちゃ勉強した。嫌になりそうなこともあったけど、やり続けて今はよかったと思ってる。伊沢:よくその追い込みができるね。河村:僕は勉強もクイズも趣味の範疇なのかも。だから落ち込まない。知らなくても今まで生きてきたんだしって思うんですよね。メンタルに影響が出るくらいなら、アウトプットの場から遠ざかってもいい。人生を否定されながらクイズをすることはないっていつも思ってます。――学びに対して苦手意識がある人にコツや心得をいただけますか?須貝:よく学ぶのが苦手っていう人がいますけど、本当にそう?っていっぺん自分に聞いてほしくて。料理を覚える過程も学びだし、何かがうまくなっていくのが好きなら、“学びが好き”でいいと思うんです。偉人の名前は無理でも、好きなアイドルの誕生日は覚えられるわけだし。河村:レベル1の次はレベル2で、一気にレベル3には行けないんです。僕は先日ナムル丼の自炊キットを買ったんですけど、レンジで米をチンして、具と卵をのせればOK。これが僕にとってのレベル2でした。どこまでできて、できないのか、自分の能力を見極めるといいと思います。――おすすめツールはありますか?伊沢:僕はiPhoneのメモ帳を多用してますけど、思考の整理は手書きで図みたいに書いてる。アナログとデジタルを使い分けられるといいですよね。河村:僕もメモ帳にとりあえず書く。語彙の「彙」って書けないなと思って書いてみたり、本のこぼれ話をメモったり、ぐっちゃぐちゃ。一文字一文字を写経みたいに書いていくと、その単語に意識を持っていけて、手がかりが掴める感覚があるんです。山本:スマホのメモアプリを使ってますね。ノートは持ち歩かないけどスマホは大体持ってるし、データを溜めておけばいつでも取り出せる。須貝:僕はYouTube。興味ある動画がサジェストされてくるから、精度も上がる。知識も深まります。河村:あと、あえてツールとして話しますけど、「友達」。物理問題は須貝さんにパスできるし、山本の話が聞きたいから漢字を覚えることも。こっそり勉強して驚かせようと思ったり、同じテキストを読んでペースダウンしないようにもできたり。許し合える友達って大事だと思います。クイズノック東大クイズ王・伊沢拓司が中心となって運営する知識集団、および同名の情報メディア。“楽しいから始まる学び”をコンセプトに据え、YouTubeやWebコンテンツを日々発信中。今回登場の4人のほか、得意分野もさまざまなメンバーが所属している。いざわ・たくし1994年、茨城県生まれ。2016年、東京大学在学中にWebメディアQuizKnockを立ち上げる。『東大王』(TBS系)に出演中。著書に『クイズ思考の解体』など。かわむら・たくや1993年、栃木県生まれ。2016年に伊沢らとQuizKnockを立ち上げる。’23年には妻・篠原かをりと共に『雑学×雑談 勝負クイズ100』を出版。すがい・しゅんき1991年、京都府生まれ。東京大学大学院では物理学(超伝導)を専攻し、博士号取得。競技クイズ経験なしで、2017年からQuizKnockに参加。愛称ナイスガイ。やまもと・よしあき1996年、埼玉県生まれ。早稲田大学先進理工学部卒業。第34回『全国高等学校クイズ選手権』で4位入賞。2017年からQuizKnockに参加。漢検1級。※『anan』2024年5月22日号より。写真・森山将人(TRIVAL)スタイリスト・大瀧彩乃取材、文・飯田ネオ(by anan編集部)
2024年05月19日人間の欲と罪、愛を暴く映画『湖の女たち』。溢れる知性で多くの人を魅了する福士蒼汰さんは今作の主演でどのような新境地に辿り着いたのか。福士さんの学び続ける人生に迫りました。介護施設での殺人事件を発端にあぶり出される登場人物たちの心の闇と過去。人間の欲や罪深さ、その中にある生の輝きを真っすぐに描いたのが、5月17日公開の映画『湖の女たち』。主演を務めた福士蒼汰さんの役どころは、事件の捜査にあたった若手刑事、圭介。取り調べを行った佳代と歪んだ性愛関係に陥り、モラルを踏み外していく人物を渾身の演技で体現した。「演技に対する気負いはありませんでしたが、難解な作品、役柄だったと思っています。まず初日に、大森(立嗣)監督からのダメ出しを受けまして(笑)。冒頭の圭介が家で着替える場面で、シャツのボタンを留めながら『はぁー』と声を出していたら、『その声いらないからやめて』と。無意識のうちに出ていた声でしたし、なぜNGだったのかも明確には伝えられなかったので悩みましたが、後から考えると、役者が状況をお芝居で説明してしまっているんだなと思って。エンタメ色の強い作品とは違い、今作はリアルな人間の物語なので、演技のボリュームを下げる必要がある。脳みそを使ってお芝居すればするほどエンターテインメント性が高まると思うので、逆に今回は意識的ではなく、自分の心で演じることを大切にしました。圭介の中から溢れ出たものであれば台本から逸れてもOKだと。そんな役への取り組み方を学べた現場でした」さらに、大森監督流の演出に驚いた場面もあった、と明かす。「家のソファに座り、裸にタオル一枚で佳代のプロフィールを見ているシーンの撮影前、『一人にするから感じて』と監督から指示があり、スタッフ全員が部屋から離れて僕一人に(笑)。部屋中を見て回り、圭介の生活を感じながらソファに座っていたら、数分後、監督が戻ってきて『いい顔してるじゃん』と撮影再開。一人にした意図は教えてもらえなかったのですが、俳優自身に考えさせるやり方だったんだと理解しています」撮影前には圭介らしい体を作り、圭介と佳代の危うい関係を表現するため、佳代を演じた松本まりかさんとの会話も控えたそう。「圭介には整った細マッチョよりも、少しずっしりとした体型のほうが合っていると思い、食べて、鍛えて、体を大きくしていました。初共演の松本さんとは現場では台詞以外、ひと言も話さなかったんです。普段は積極的にコミュニケーションをとるタイプですが、今回は距離を縮めないほうがヒリヒリした感じが出ると思って。撮影中は福士蒼汰の瞬間がなく、常に圭介として現場にいました」凄みを感じる演技で新境地を切り開き、「より深くお芝居を学んだ感覚。今後もリアルを求める作品に挑戦していきたい」と意欲的な福士さんは、常に向上心を持って自分をアップデートさせてきた。その最たるものが、独学で習得した英語。ドラマ『THE HEAD』では流暢な英語を披露し、海外作品に出演する夢も叶えた。「英語を勉強し始めたのは20歳の頃。正しい発音で台詞を言えれば、海外の作品に挑戦できる可能性はあると思い、まずは発音から始めて。あとは、トラベル英会話の本を買い、何度も繰り返して読みました」さらに、約3年前から本格的に英語学習をスタートさせたそうで、今回、anan読者のために、福士流勉強法も丁寧に教えてくれた。「発音はYouTubeでまとめられているものを見るのも一つの方法だと思います。文法は中学生用の薄い文法参考書を何回か繰り返して読む。単語&表現の学習は市販の単語帳をまずは1冊読破し、3000単語ぐらい覚えたら、スピーキング、リスニング、ライティング、リーディングの4つの技能に進む。ライティングを磨くために僕が行っているのは、毎日1行、英語で日記を書くこと。日本語で書いたものをチャットGPTで完ぺきな英語に翻訳して書き留めておき、週末に一気に復習するんです。それを続けていくと、言いたいことが言えるようになり、音読するのでスピーキング力も磨かれる。さらに、スピーキングの勉強でオススメなのが独り言。『今、暑くない?』のようなちょっとしたフレーズを、家でブツブツ言う。僕は二人の人物を頭の中に作って、シチュエーションを想定し、二人で会話させて遊んだりしています、入浴中に(笑)。ただ、一方的に話せても、相手の英語を聞き取り、理解できなければ会話にならないので、リスニングとリーディング力も必要。そのために今は『ラダーシリーズ』という洋書を読んで勉強しています」学びに対してとことん貪欲で、極めたい言語は他にも。「今は、言語学習アプリで韓国語を勉強中。時間があったら、スペイン語かフランス語も習得したいなと。外国語が話せたら純粋にカッコいいと思うし、相手の言葉がわかればラクだと思うんです。どうしたらよりラクに生きられるか。人生を充実させるために勉強するのは楽しいです」ふくし・そうた1993年5月30日生まれ、東京都出身。近年の出演作にドラマ『大奥』シーズン1~2、『アイのない恋人たち』、『THE HEAD』Season2など。短編映画『イツキトミワ』では監督・脚本にも初挑戦した。シャツ¥119,900パンツ¥126,500カーディガン¥199,100(以上MARNI/マルニ ジャパン クライアントサービス TEL:0120・374・708)※『anan』2024年5月22日号より。写真・嶌原佑矢(UM)スタイリスト・高橋美咲(Sadalsuud)ヘア&メイク・矢澤睦美取材、文・関川直子(by anan編集部)
2024年05月19日放送中の大河ドラマ『光る君へ』に、藤原彰子役で登場する見上愛さん。現在ドラマや映画への出演が急増中で、最も目の離せない俳優の一人だ。そんな見上さんが、松居大悟監督が構想10年をかけて映画化したという思い入れのある作品『不死身ラヴァーズ』の主演に抜擢された。原作は高木ユーナ氏の同名漫画だが“好きを全肯定する、無防備なラブストーリー”と謳った今作は、原作の“好きになる”と“なられる”の二人の立場を入れ替えるという松居監督の大胆なギミックにより、観客の予想を裏切る構成となっている。見上さん演じる長谷部りのが、運命の相手だと信じた甲野じゅん(佐藤寛太)に「好きです!」と想いを伝えるたびに、じゅんは姿を消すという出来事を繰り返していく物語だ。――テレビドラマへの出演が続く中、今作を拝見して、より役の振り幅が広く、表現力が豊かな役者さんだと思いました。毎回エネルギー高く「好きです!」と言い続けるりのについて、どのような人物と捉えていますか。ありがとうございます。りのは強いパワーを持った女の子なんですが、ただまっすぐなまま突っ走るのではなくちゃんと傷ついて、苦しんで、という人間くささが見えるのも好きなところです。人力車を引いたりギターを演奏するなど、体力面や練習時間などで結構大変でしたし、1日で中学時代と大学時代のシーンを撮ったこともありましたが、りのが持っているエネルギーに常に引っ張ってもらっている感覚があって。だから撮影中はずっと楽しかったです。それまで私は暗めだったりクールな役を演じることが多かったから、りのみたいなはじけた役を演じてみたかったんです。――りのはご自身に近いですか?「好き!」とまっすぐに伝えるような行動はしないけど、基本近いかも。これで共演4度目の青木(柚)さん(親友・田中役)には「見上のまんま!」と言われたんです。その時はピンとこなかったけど、終わってみたら確かにって。――ネタバレの多い作品であまり掘り下げて書けないのですが、印象的だったのが、りのがアコースティックギターをかき鳴らしながらGO!GO!7188の曲「C7」を熱唱するシーン。エモーショナルでカッコよかったです。実はこのシーンは急遽追加されたシーンでした。私は昔バンドでギターをやっていたのですが、当時演奏していた曲をいくつか松居監督にお送りして、その中から監督が選びました。あとから聞いて知ったんですが、原作者の高木さんは漫画でそのシーンを描いている時に、GO!GO!7188の「神様のヒマ潰し」を想定していたそうです。曲は違うけど、奇跡だと思いました。――すごい!みなさんの世界観が一致していたんですね。本当にびっくり。でもありがたいことだとも思います。――劇中では、りののカラフルなファッションもまたパワフルさを発揮しています。見上さんは普段、カラフルな服を着ますか?服そのものも、コーディネートを考えることも大好きなので、いろんなテイストの服を持っていて、日によって違うスタイルをしています。カラフルなものもありますし。そしてこの撮影中は、明るくて派手なりのっぽい服をたくさん着ていました。――それは役作りのために?基本的に服を選ぶのに時間がかかるので、その時演じている役のようなコーディネートすることが多いんです。服を選ぶ時の、何か理由が欲しいからなのかも。――そもそも、俳優ではなく照明の仕事に憧れていたそうですね。はい。中学生の頃、親に連れられて初めて舞台を観に行った時から観劇にハマって。こんなに大勢の人が同じものを見て、幸せになって帰れるなんてすごい!って。それで初めの頃は、舞台照明の仕事に興味を持つようになりました。そのうち一人で小劇場にも足を運ぶようになり、高校時代は月10本とか観ていました。ただ観劇が好きで、今でもそうですが趣味みたいな感じです。その後演出の仕事に憧れるようになって、大学は演出の勉強ができるコースに進学。そのうち、演出家になるなら演技の勉強も必要だと思い、今の事務所のスクールに通い始めたのが俳優になったきっかけです。――中学から観劇にハマったとは。自己分析するとどんな性格ですか。基本的にポジティブな性格だと思います。特に中学時代は超ポジティブで、落ち込んだり怒ったりという感情の波もなく、何事にもイライラもせずに動じない時期があって。当時は周りから「仏のようだ」と言われていたぐらい。それがしばらく続き、2年ぐらい前まではそういう状態でした。でも役を通していろんな考え方や生き方に触れながら自分を解放していくうちに変わっていったというか、人間味が深まってきたのかな(笑)。今はちゃんと、いろんな感情を出せるようになりました。生きやすいのは、以前の私だと思う。感情の波が少ないから傷つきにくいし、うまくこの世の中を渡り歩けるから。でもお芝居をするなら、今の状態のほうが表現の幅も広がっていいと思います。――なるほど。ちなみに幼少期はどんなお子さんでしたか?幼稚園や小学生の頃は、無敵であり最強期。小4の時の夢は、総理大臣でしたから(笑)。――それは無敵ですね(笑)。怖いものがなかったです。そこから失敗したり傷ついたりを繰り返しながら、どんどん最強じゃなくなっていったけど、でも無敵状態では人の痛みの深いところまではわからないから、やっぱり無敵ではなくなった今のほうがいいと思います。相手の痛みがわかったうえで人に優しくできたほうが、寄り添えている感じがしますから。――見上さんには、ちょっとミステリアスな印象を持っていました。よく言われます。だからこの顔に生んでくれた親に、ありがとうって思います。――ミステリアスなのは顔の雰囲気からだと?もちろん顔だけじゃないと思うけど、実はそんなに喋るんですね、そんなに笑うんですね、なんて言われることも多いんです。だから見た目とのギャップかなって。――ミステリアスに思われることも悪くないと思っている、ということでしょうか。少なくともこの仕事をする場合はプラスだと思っていて。例えば、ひとことセリフを発した時に何を考えているかわからないと思わせることで、表現に生きてくることがあると思うから。――将来的な目標はありますか?小・中・高・大そして今といろいろな自分がいたけど、ずっと変わらなかったのは表現するのが好きなこと。お芝居もその表現方法の一つですが、お芝居に限らず、いつか演出をやってみてもいいし、いろんなアプローチで表現し続けられたらいいな、と思っています。例えば、私の親友のおうちに窯があるので私もたまに陶芸をやっているんですが、それも表現の一つ。――すごく個性的な作品を作っていそうです。あははは(笑)。家には自分で作った食器とか小物入れ、人間をモチーフにしたコースターなんかもあります。でも見たことあるような食器を作るなら買えばいいと思うんです。そのほうがキレイだし。だからどこにも売っていない、自分が欲しいものを作っています。――そういう創作力のソースはなんですか?考えたこともなかったけど…小さい頃から何か創作するのが好きでした。小学生の頃に通っていた塾のノートの表紙に、シールや毛糸、切り抜きをコラージュして、誰よりもデコっていたり。当時から、自分の得意なことや好きなことに対して努力できるような道に進もうとは思っていました。――見上さんにとってはクリエイティブな時間は必要なんですね。あとは、リフレッシュする時間も必要です。時間が空いたら友達と一緒に、ドライブがてら長野や山梨に行って、絵を描いたり写真を撮ったりもします。朝日を拝んで、温泉に入ったりも。そうやって自然と触れ合っているとすごくリフレッシュできる感覚があって。家にこもってアニメを見るのも好きな時間ですが、自然の中にいる時も、アニメを見ている時も、一回仕事とかいろんなことを忘れられるんです。それは私にとってすごく必要なこと。なぜなら役に入っている時間が長くなるほど、見上愛として生きる時間が減ってしまうから。本来の自分でいる時間を大事にしていないと、自分が行方不明になっちゃいそうで怖いんですよね。役と自分のバランスをとっているということでもあるのかな。だから意図的にそういう時間を作っているし、それを理解してくれている友達に囲まれて楽しく過ごしています。――見上さんのこと、2mmぐらいわかってきたかもしれません。えっ!私としては100%のうち85%ぐらい喋りましたよ。今までのインタビューの中でも一番ぐらいに…(笑)。――まだまだ奥深そうだと思って(笑)。でもたくさんお話しいただき嬉しいです。この先やってみたい役はありますか?今回の映画もそうですが、コメディタッチな作品はまたやってみたいです。それから、学生時代のピュアな感情がまだ残っているうちに学生役をたくさんやっておきたい。あとはいわゆる悪役とかも。最近は正義と悪をはっきり分けるというよりも、悪の裏にある気持ちなどを描く作品も増えているので、ひとことで“悪役”と言うのも難しいんですけど。――見上さんが演じる悪役、見てみたいです。やってみたいですが、間抜けになっちゃう気がする…。悪役を演じようとすると、周りからは「動きがダサい」って言われることが多いんです(笑)。でも経験を積んで、悪役でも威厳を持って演じられるような俳優になりたいです。長谷部りのは中学の時に“運命の人”甲野じゅんに再会。「好き」と告白するが、その瞬間にじゅんは姿を消してしまう。その後じゅんは何度も別人となってりのの前に現れ、そのたびにりのは恋に落ちて全力で想いを伝える。その結末には、奇跡が待っていた…。『不死身ラヴァーズ』は全国ロードショーで公開中。みかみ・あい2000年10月26日生まれ、東京都出身。’19年にドラマで俳優デビューし、’21年に映画『衝動』で倉悠貴とW主演を務め、映画初主演を飾る。ドラマ『Re:リベンジ‐欲望の果てに‐』(CX系)に出演中。またNHK大河ドラマ『光る君へ』に、藤原彰子役で出演予定。ドラマ『ゲームの名は誘拐』(WOWOW)は6月9日より放送スタート。トップス¥24,200(ナカガミ/ナカガミラボラトリー TEL:050・1157・2902)ドレス¥82,500(リブノブヒコ/ハルミ ショールーム TEL:03・6433・5395)イヤカフ¥22,000ヘアクリップ¥28,600リング¥26,400(以上プリュイ/プリュイ トウキョウ TEL:03・6450・5777)その他はスタイリスト私物※『anan』2024年5月22日号より。写真・前田拓也(TRON)スタイリスト・下山さつきヘア&メイク・豊田健治インタビュー、文・若山あや(by anan編集部)
2024年05月18日若い女性を中心に支持を得るタレント・pecoさん。ファッションブランドの立ち上げにエッセイ本出版など、常に挑戦を続ける彼女がいま励むのは英語学習!学びへの意欲の源を聞くため、輝く彼女に会いに行きました。憧れの俳優さんに、いつか英語でお礼が言いたいです昨年立ち上げた自身のブランド『トスタルジック・クロージング』のデニムセットアップを素敵に着こなし、にこやかな表情で待ち合わせ場所に現れたpecoさん。原宿系ファッションのカリスマ読者モデルとして注目を集め、パートナーのryuchellさんとともに人気者になった彼女も、現在は5歳の男の子を育てる1児の母に。ただでさえ忙しい日々を送るなか、最近新たに“英語学習”に挑戦しているという。明確な目標があったからこそ、ここまで頑張れた。「英語を学び始めたきっかけは、息子がインターナショナルスクールに通い始めたことです。インターでは、学校への連絡や先生とのやりとりはすべて英語で行う必要があるのですが、入学当初は、“慣れればそのうち自分も英語ができるようになるだろう”くらいに思っていたんです。それが、入学から1年以上経ってもまったく喋れる気配がなくて。いま考えたら当然なのですが(笑)。そんな中、ちょっとした手違いでPTAの会議に参加することになってしまったんです。もちろん交わされる言葉は英語のみ。会話の意味が1ミリも理解できない自分に、生まれてはじめて自己嫌悪を感じました。“なんで今まで勉強せずに放置してきたんだろう…”って」そこでようやく英語に本気で向き合うことを決めたそう。「ただ最初は、何から手をつけていいかもわからなくて。大好きな海外ドラマを見たり、英語学習のYouTubeを見たりして、なんとなく英語をやっている気分になっていました。そんな状態だった去年の夏に、息子と二人でグアムへ行ったんです。目的は息子を現地のサマースクールに通わせることでしたが、せっかくの機会なので、私も一人の時間は街に出て、手あたり次第にグアムの人に英語で話しかけることにしたんです。もうナンパみたいな感じで(笑)。それがすごく楽しくて、“こんな下手な英語でも楽しく人と話せるということは、ちゃんと喋れたらどれだけ楽しいんだろう”と、さらにモチベーションも上がりました」“自己流ではなく、本格的に英語を学びたい”と強く思っていたpecoさんに転機が訪れたのは、昨年末のこと。「英語コーチングサービス『イングリード』さんから、YouTubeでコラボのお話をいただいて。なので、半分はお仕事としてですが、3か月本気で勉強してみることにしました」コーチングとは、簡単に言えば、パーソナルトレーニングのようなもの。受講生一人一人に専任のコンサルタントが付き、最適な学習法をライフスタイルに合わせて提案してくれる。「何がありがたかったかというと、私、本当に勉強が大嫌いなんです(笑)。そんな私でも無理なく学習できるカリキュラムを組んでくれて、ちゃんと生活に馴染む方法を考えていただけた点ですね。例えば私の場合、ドライヤー中に単語を覚えるとか、リスニングは運転中にするとか。ずっと机に向かうことは難しくても、この方法ならトータルで毎日1時間半は勉強時間が確保できるので助かっています」最近のSNSには、きれいな発音で英語を話すpecoさんの姿が。短期間でここまで成長できるなんて!「自分としてはまだまだですけど、英語学習を始めた時の目標の一つが“息子の学校で先生や他の親御さんたちとスムーズにコミュニケーションをとること”だったので、前よりも相手の話が理解できたり、自分の言葉が出ていると感じた時には嬉しくなります」「ただ漠然と“英語で喋りたい”ではなく、目の前に明確な目標があったからこそ、ここまで頑張れた」と話すpecoさん。そんな彼女にはもう一つ、英語を通して叶えたい夢がある。「大好きな海外ドラマの『glee』の俳優さんに、自分の言葉で感謝を伝えたいです。『この作品のおかげで私はこんなに救われました』って。いつか道端でばったり会うかもしれないから、その時のために今から練習しています。私の人生の一番の目標です!」勉強にしても、仕事にしても、新しいチャレンジをする時はどうしても二の足を踏みがちだけど、pecoさんのフットワークはとても軽い。「新しい挑戦をすることは、まったく怖くないんです。なぜなら、まだ自分が経験していないことだから。実際に試したわけでもないのに、悩んでもしょうがないじゃないですか。もしやってみて壁にぶつかったら、その時にどうすればいいか考えるだけ。それでも不安になるなら、私の場合はいっそ最悪なパターンを想像します。最初から“めっちゃ大変だろうな”と想定していたら、大抵のことは乗り越えられるもの。英語学習にしても、“勉強ってしんどそう”と最初にイメージしていたからこそ、やってみると案外“楽しい!”と思えたんです。決してネガティブな意味ではなく、“自分の未来に期待しすぎない”。そういうマインドが意外と大事なのかもしれません」My skill up source大好きな海外ドラマは、最高の英語教材!【glee/グリー】「今まで何度も元気をもらってきた作品。セリフを覚えて、英語の勉強にも使っています」。熱意ある高校教師がグリー(合唱)部の立て直しに乗り出し、落ちこぼれの部員たちと共に全国大会を目指す青春ミュージックドラマ。『glee/グリー』Huluで配信中。©2009-2010 Fox and its related entities. All rights reserved.美しい英語に触れるならこれ!Chikaさんの人柄も素敵です。【Bilingirl Chika】「私の憧れの存在でもあり、プライベートでも交流のある吉田ちかさんのYouTubeチャンネル。英語の発音がきれいで本当に聞き取りやすいです」。「バイリンガール英会話 Bilingirl Chika」自分のレベルや苦手に合わせた専用カリキュラムが効果絶大。【イングリード】「勉強嫌いの私がここまで上達できたのも、英語コーチングのおかげ。コーチと二人三脚で英語を学べるので、孤独感がないのもポイント」。短期間で英語力を劇的に向上させるオンライン英語コーチングサービス。「イングリード」ペコ1995年6月30日生まれ、大阪府出身。タレント。自身がデザイナー・プロデューサーを務めるファッションブランド『Tostalgic Clothing』を開始。初のエッセイ本『My Life』(祥伝社)が発売中。※『anan』2024年5月22日号より。写真・猪原 悠インタビュー、文・瀬尾麻美(by anan編集部)
2024年05月18日持ち前の好奇心、探究心の強さで培った知識を活かしサッカー解説でも大きな注目を浴びた影山優佳さんが、舞台『未来少年コナン』のヒロイン役に挑みます。「実はネガティブ」な自分と向き合い、踏み出す心境は?“初心者面”ができる今を楽しみたい自分の心身と相談しつつ柔軟に目標を達成。サッカーに造詣が深いことで知られるほか、クイズ番組などでも大活躍。あらゆるジャンルにおいて学ぶことが好きな影山優佳さんだが、その原動力はいったいどこから来るのだろうか?「“知らない世界を覗いてみたい”という、純粋な興味です。好奇心が旺盛な子どものまま育ったので(笑)、面白そうなものや考え方に出合うともっと掘り下げてみたくなる。知らないことを一つずつ覚えていく作業がすごく好きで、勉強も趣味も、全部そういう感覚で追究していますね」高知能指数の持ち主だけが所属できるMENSAの会員で、世界遺産検定2級などさまざまな資格を保有している影山さん。聡明な彼女いわく勉強のコツは“柔軟性”だという。「勉強する時は、最初に試験日までの目標を立てておくといいですね。ここまでにこれをやるとか、逆算で細かい目標を立ててそれをどんどん回収していく感じ。ただ、毎日その目標を必ず達成するというよりは、自分の心や体と相談しながら柔軟にやっていくことが大事かなって。“今日はいっぱいできたからごほうびをあげよう”とか、その日の調子と折り合いをつけながらやっていくと、ポキッと折れずに細く長く頑張れると思っています」初心者の今だからこその立ち位置を味わってます。日向坂46を昨年卒業し、最近は俳優業も本格化。今年は『ハコビヤ』『春になったら』と同クールで2本のドラマに出演、まもなく始まる舞台『未来少年コナン』で新たな分野にも挑む。「まさか自分が舞台に挑戦させていただけるなんて思ってもいなかったので、最初は不安のほうが大きかったです。ミュージカルが好きで、普段からよく観に行っているんですけど、だからこそ、自分には舞台に必要なスキルが足りていないという自覚もあって。ただ、お芝居は今すごく頑張っていきたいと思っているジャンルなので、こうしてチャンスをいただいたからには、自分が好きなものだからこそ、“当たってくだけろ”したいですね」ドラマなど経験を重ねてきたことで、自分なりの台本の読み方が身に付いたか尋ねると、「私は“写真記憶”なんです」と、驚くような答え。「一度見たら頭に入るので、お芝居する時も頭の中の台本を、マーカーをたどるように読んでいて…例えるなら、字幕を読んでいるような感覚です。だから、ドラマの撮影の時も、現場で台本を見たことは全然なかったです」傍から見るとうらやましい限りだが、一度に情報が頭に入ってくることは必ずしもメリットばかりではないという。「小説とかマンガも、それでなかなか読めなかったんです。読むと、受け取るものが多すぎて疲れちゃって…。でも、台本をスッと覚えられるというのは、ある意味よかったなと思います。タスクに追われると周りが見えなくなるタイプなので、セリフ覚えに追われず共演者の方々とのやりとりに集中できるこの能力はお芝居向きだなと。初めての環境で分からないこともたくさん出てくるかとは思いますが、何かあったら周りにどんどん聞いて、たくさん吸収できたらなと思います」未体験の状況に不安を感じつつも、苦労もすべて受け止め壁を乗り越えようとするその姿勢は実に頼もしい。「本来は、ネガティブだし自己肯定感も低めで、周りからもよく『始まる前からマイナスなことを想像して何になるんだ』って言われるんです。でも本当にその通りで、一歩踏み出さないと何も始まらないんですよね。みんな誰でも初心者の時ってあるわけだし、その“初心者面(づら)”ができる今しか聞けないこともあって。始めたてだから挑戦もできるし失敗もできる。今はその“初めてなんです”っていうスタンスを味わうというか、ちゃっかりおいしくいただくみたいな感覚でいいんじゃないかなと思っています(笑)」思考がつい内向きになりやすいという影山さんが不安をはねのけるためにしていることというと…?「昔からあまり人に相談できないタイプでしたけど、最近は人と話して紛らわすことが多くなりました。人の相談事を聞いて自分のネガティブなマインドから目を背ける、みたいな。自分の内側ばかりに目が向くとあまりいいことがないので、人としゃべることでそれを強制的に外向きにさせています。友だちとか先輩とか、たくさんの周りの人たちに助けてもらっていますね」では、これから新しいことに挑戦する読者にエールを!「失敗することへの怖さや、分からないことへの不安はあると思いますが、そういう感覚になれるのも今しかないので、置かれている状況とか、自分の立ち位置を味わってみてください。私も今同じ場所にいるので、“影山も頑張っているんだな”と、少しでも励みにしていただければ。皆と一緒に頑張らせてもらえたらなと思います」My skill up source複雑な内容を分かりやすく。生き方にも影響を受けました。【中野信子さんの本】「脳科学者・中野信子さんの本が好きで、なかでも『エレガントな毒の吐き方』(日経BP/1320円)。研究内容は高尚で難しいけど、研究への向き合い方と人への向き合い方がすごく柔軟で、何でも吸収するスポンジのような方。生き方含め影響を受けています」まず概要を把握してから自分流にアレンジ。【料理レシピ動画】「料理をよくするので、クラシルとかデリッシュキッチンとか、料理レシピ動画はよく見ます。でもそのレシピ通りに作るのではなくて、『これおいしそう』と思ったものを、自分流のやり方で作ることが多いですね」「戦術」を考えるのが好き。どんなテーマも学びです!【YouTubeの解説動画】「最近ポケモンカードにハマっているので、戦い方をYouTubeで見ています。自分の中ではこれも学び。それ以外のテーマの動画も身近なことを分かりやすく学べるからよく見ていて、最近はNISAの仕組みを学びました」かげやま・ゆうか2001年5月8日生まれ、東京都出身。昨年、日向坂46を卒業。FIFAワールドカップ カタール 2022では鋭い予想で注目を集めた。5月28日から上演する舞台『未来少年コナン』でヒロインのラナ役を務める。※『anan』2024年5月22日号より。写真・猪原 悠スタイリスト・合田凪沙(ALCATROCK)ヘア&メイク・佐藤友梨インタビュー、文・野村 文(by anan編集部)
2024年05月17日シェイクスピアの『ハムレット』といえば演劇の超スタンダード。この世界に入ってすぐの頃、「何をやっていいかわからず、とりあえず有名な映画や本を手当たり次第に観たり読んだりして。そのときに読みました」という牧島輝さん。そこから時を経て、森新太郎さん演出の舞台『ハムレットQ1』に出演する。わかりやすいので、シェイクスピアを知らない人にこそおすすめしたい。「今回は『ハムレット』といってもQ1(3種存在する原本のうちのひとつ)で、展開もかなり速くてわかりやすい。話の展開は同じですけれど、また違う作品のような印象を受けたので、ご覧になったことがある方も楽しめると思いますし、読んだことのない人や苦手だと思っていた人に特におすすめしたいです」森さんは、これまで数多くのシェイクスピア劇を演出しているが、原典からあたるなど戯曲の丁寧な分析と考察により、作品の魅力を深く鮮明に見せてくれる人。「稽古が始まって、こんなにひとりひとりの俳優に向き合ってくださる方なんだと思いました。ホン読みの段階から言葉をものすごく大事にされている印象があります。たとえば、茜色という言葉があったときに、茜色の“あ”の音から太陽の明るさを感じさせなきゃいけない、想像できているから“あ”の音が出るんだ、などとおっしゃる。自分も、もっともっと台本を読み込んで、想像を膨らませながら役を作っていかなきゃいけないなと思っています」主人公のハムレットには吉田羊さんが扮する。吉田さんは3年前の森さん演出の舞台『ジュリアス・シーザー』でもブルータスを演じている。「稽古が始まったばかりですが、すでに吉田羊さんのハムレットから葛藤が伝わってきます。拝見していて引き込まれるものがあります」自身が演じるホレイショーは、ハムレットの親友で、復讐劇を冷静な目で見つめていく存在。「周りで起こるいろいろなことに自分自身が翻弄されながらも、冷静でいないといけない役」だと分析する。「役柄的にも役者としても、ご覧になっているお客さんに伝えなきゃいけないことが多いんですよね。物語に追われていっぱいいっぱいになっちゃう瞬間もあるんですけど、冷静でいないとと言い聞かせています」昨年には、『セトウツミ』や『季節はずれの雪』と、自身が企画から立ち上げた2本の舞台を上演した。「俳優って自分から動かないとご縁のない作品もありますよね。せっかく役者をやっているのだから、いい作品にたくさん出合いたいし、好きな作品は演じたいなと思うんです」PARCO PRODUCE 2024『ハムレットQ1』デンマーク王の息子・ハムレット(吉田羊)は、ある日、急死した父王の亡霊と遭遇し、その死が父の弟で、王座を継いだ叔父(吉田栄作)の謀略だと知り、復讐を誓うが…。5月11日(土)~6月2日(日)渋谷・PARCO劇場作/ウィリアム・シェイクスピア訳/松岡和子演出/森新太郎出演/吉田羊、飯豊まりえ、牧島輝、大鶴佐助、広岡由里子、佐藤誓、駒木根隆介、永島敬三、吉田栄作ほかマチネ1万1000円ソワレ1万円U‐35チケット5500円(観劇時35歳以下対象)ほかサンライズプロモーション東京 TEL:0570・00・3337(平日12:00~15:00)大阪、愛知、福岡公演あり。まきしま・ひかる1995年8月3日生まれ、埼玉県出身。最近の主な出演作品に、ミュージカル『刀剣乱舞』、舞台『キングダム』、ドラマ『不適切にもほどがある!』などがある。※『anan』2024年5月8日‐15日合併号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・中村 剛(ハレテル)ヘア&メイク・石川ゆうき(Three PEACE)インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2024年05月13日「何でも聞いてください。何でもしゃべります」。取材に登場しての第一声。その言葉だけで、いかに城田優さんが今回の公演に情熱を持って取り組んでいるか、その覚悟がよくわかる。『TOKYO~the city of music and love~』は、城田さんがプロデュースする“東京”をテーマに繰り広げられるショー。歌やダンス、映像や舞台装置、衣装など、日本の舞台芸術に携わるアーティストたちの力を集結させた。「以前に、米倉涼子さんと僕がプロデュース・演出をした『SHOWTIME』という公演があったのですが、そういう舞台をまた作りませんかとお話をいただきまして。それならば、東京でやるものだけれど海外でも勝負できるクオリティのショーを作ったら面白いんじゃないかと思いました。今回はスケジュールの都合で東京とシンガポール公演だけですが、いずれは海外のいろんな国に持っていきたいと考えています」ご本人のイメージからミュージカルコンサートを想起するが、歌だけではない、「これまで観たことのないショーになるはず」と力説する。「僕が目指しているのは、歌唱も、ダンスも美術も演出も、すべてにおいてハイクオリティな舞台です」そのためキャスティングにはとことんこだわり、それぞれの分野において世界に通用するレベルの実力者を揃えたそう。「エンターテインメントの世界において、本来ならずば抜けてうまい人って目立つのが当然なんです。僕は、いろんなしがらみに縛られることなく、実力がある人や個性が目立つ人がもっと注目されてほしいし、そんな人がどんどん伸びてしかるべきだと思っています。そういう意味で、僕が、この人たちならと思うアーティスト、クリエイターを揃えました。今回音楽監督もお願いしているSWEEPくんは、音楽的なスキルとか曲を書くセンスとか、とにかく本当にうまくて尊敬できる方。RIOSKEくんは歌っているのをSNSで見つけて以来、ずっといつかご一緒したいと思っていたし、吉田広大くんは、芝居で見せるパッションと歌のバランスがすごくいい。yuzuちゃんとRainy。ちゃんは将来確実に日本でトップになれる才能やセンス、華を持っている。ダンサーに関しては、主役の後ろで踊るバックダンサーみたいな概念をぶっ壊したいと思っていて。原田薫さんは総合的なセンスや情熱、人間性も含めて絶対的な信頼を置いている方ですし、SHUNくんは個性も含めてトップレベルの力を持っていると思っています。碓井菜央ちゃんは出会ってから10数年ですが成長度合いが素晴らしく、今の若手で一番好きなダンサーかもしれないくらい。BOXERさんはインスタグラムで見つけてずっと気になっていたんですが、今や世界中から注目されるようになっているし。高村月くんは、友人の誕生会に参加したときに踊っている姿を見て感動してオファーさせてもらいました」スタッフも演劇というジャンルにこだわらず、「変わったことをしたいというよりは、いいものを作るために妥協したくない、みたいなユニークな人が揃っている」。そしてもちろん城田さん自身も出演者として、そして共同演出として参加する。「芸能界に入って25年間。いろんな現場を見てきましたし、積極的に海外に足を運んで多くのエンターテインメントに触れてきた経験値もあり、10年近く前からミュージカルの演出をさせていただいています。そういう立場として僕は、上質なエンターテインメントがもっときちんと評価される世の中になってほしいし、良質なものにもっと触れてそれを見極められる人が増えてほしいとも思っています。今回の公演が少しでもその役割を果たせたら嬉しいです」『TOKYO~the city of music and love~』5月14日(火)~19日(日)渋谷・東急シアターオーブ演出/城田優、金谷かほり出演/シンガー・城田優、SWEEP、RIOSKE(ペルピンズ)、吉田広大、Rainy。、yuzu(FYURA PROJECT)ダンサー・原田薫、大村俊介[SHUN]、碓井菜央、BOXER、高村月スペシャルゲスト・miwa(5/14・15)、鷲尾伶菜(5/16・17・19)、島津亜矢(5/18 昼・夜)S席1万3500円A席9500円B席6500円キョードー東京 TEL:0570・550・799(平日11:00~18:00、土・日・祝日10:00~18:00)しろた・ゆう1985年12月26日生まれ、東京都出身。2010年ミュージカル『エリザベート』トート役での文化庁芸術祭演劇部門新人賞など数々の賞を受賞。近年はミュージカル『ファントム』など演出家としても活躍する。シャツ¥63,800(キミー)パンツ¥35,200(バラード) 共にサカス ピーアール TEL:03・6447・2762※『anan』2024年5月8日‐15日合併号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・山中有希奈ヘア&メイク・Emiyインタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2024年05月11日アーティストとして俳優として。アイドルを“卒業”してから着実に自分の世界を切り拓いている伊藤万理華さん。5月11日(土)からNHKで放映の主演ドラマ『パーセント』では、障がいのある俳優を起用するドラマ制作に迷いつつもあきらめず向き合う、テレビ局の新人プロデューサーという難しい役どころに挑戦している。「私にとって初めての体験でした!」俳優としてのステップアップを感じたドラマワンピース ¥19,800(フィルモア /WEAVA TEL:03・6451・0924)ビーズイヤカフ ※2 色セット ¥5,940、ゴールドイヤカフ ¥4,840(共にメルセデス・サラザール / ズットホリック)イヤリング ¥8,360(ソムニウム TEL:03・3614・1102)主演ドラマ『パーセント』の撮影を振り返っての感想を尋ねると「いやぁ、もう考えることばかりでした」と言いながら、充実した表情を見せた伊藤万理華さん。「このドラマは企画されたプロデューサーさんの体験談が元になっていたりもするので、私はその思いを受け継ぎドラマの中で再現する…。とにかく難しかったです。カメラマン、学生映画の監督、映像世界のものづくりをする人の役などはこれまでに経験したことがありました。今回の物語のプロデューサーさんは私と同じ年のかたで共感できる部分も多いからこそ、リアルに演じたい!というやりがいもありつつ、題材としてはデリケートな部分も多くプレッシャーも大きかったです」「ドラマに障がい者を起用できないか」。そんな上司からの提案に驚く、新人プロデューサー・吉澤未来。そんな彼女の前に現れるのが、俳優を目指す車椅子の少女・宮島ハルだ。ハルを演じる俳優、和合由依さんもまた障がいをもつ人でもある。「和合由依ちゃんとの出会いは私にとってすごく大きなものでした!撮影に入る前は一人で構えて『どう接したらいいんだろう』なんて思ってしまっていて…。でもそれって、すでにある種の固定観念で人を見ていたということですよね。実際に会ったら彼女も、障がいをもつ他の俳優のみなさんも『どうして私はそんなに構えていたんだろう』って悔やむくらい魅力的なかたがたでした。ドラマで私が演じる未来は、和合さん演じるハルにときめいて、絶対にハルを起用したいと考えるんですが、私自身も和合さんに初めて会ったとき『この人と一緒にドラマを作りたい!』って思ったんです。障がいがあるとかないとかじゃなくて、和合さんだから。その気持ちが大事だったんですよね」健常者と障がい者が共存する現場。だからこそお互いが同じ思いでいるために一つひとつのステップにじっくり時間をかけた。「ここまでしっかり輪になって作品を撮ることは、私にとって初めての経験でした。これまで経験してきたドラマの現場はもっともっと限られた時間の中で撮ることが多かったのですが、この作品は全4話に3か月をかけました。時間に追われる環境で、ないがしろになっていたことがあったんだろうな、とこの作品を通して気づきました。撮影だけでなく日常でもありがたいことに忙しくさせていただいていると、一方で『俳優として、人として私はどうなっていきたいのか』とか、立ち止まってじっくり考えることが難しくなってしまう。それは私に限らず、現代の人ってほんと時間に追われすぎているなって…、それもこの作品が教えてくれたことかもしれません。きちんと時間をかけて取り組むことでうまくいくこととか、よりよくなることってたくさんある」生きてきた場所も感覚も違う人たちが集まって、ていねいに会話を重ねる現場に身を置くことで、変化していった伊藤さんの思い。それは俳優としてだけではなく、人としても。「この作品に出合う前と今とでは、ぜんっぜん違う人間になってると思います…!これからはいままで以上にていねいに時間をかけて、わかりあうための言葉を惜しまずにコミュニケーションを取っていきたいですし、目の前のできごとをもっとフラットに見ることができる人になりたい。そうすることで、ものづくりの幅も広がるような気がしています」ライフワークと語るアートの分野でも、個性を発揮してきた伊藤さん。演じ手として大きな経験を積んでいるいま、プライベートではものを作る友人たちとの時間が何よりのエネルギーチャージになっているという。「ものづくりをしている子たちと一緒に過ごす時間が、いまは前にも増して楽しいです!何かを作っている人たちのキラキラした目に刺激を受けますし、少し疲れたときは、服を作ってる子のアトリエを訪ねてボタンつけを手伝ったり、シルクスクリーンを一緒に刷ったりすると『ああ、やっぱり私はものづくりが好きなんだ』って実感します。少し前までは一人でいる時間が好き、と思っていたのですが『パーセント』の撮影を終えて、私生活でもいったんそういう思い込みをとっぱらってみることにしたんです。それでものづくりで知り合った友達を招いて一緒にケーキ焼いてみたり、ぶらぶらお散歩したり。…そしたらもう楽しくて!やっぱり目をキラキラさせながらじゃっかん早口で(笑)好きなことを語っている人たちが好きなんです!もちろん私自身も俳優として、何かを作る人として、そういう熱をもった人でいたいと思っています」いとう・まりか1996年2月20日、大阪府出身。乃木坂46の1期生としてデビュー。ドラマ『パーセント』(NHK)では障がいを扱うドラマ制作を通し、悩みつつ進むテレビ局員を演じる。ドラマ5月11日(土)から全4回。NHK総合毎週土曜夜10時~。写真・柴田フミコスタイリスト・番場直美ヘア&メイク・伏屋陽子取材、文・大澤千穂写真・柴田フミコ スタイリスト・番場直美 ヘア&メイク・伏屋陽子 取材、文・大澤千穂
2024年05月10日出会った女性がネタの源。そんな横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、褒められた時に手柄を独り占めしない女性、「手柄を伝える女」になりきり。感謝の気持ちを示したり花を持たせることが大事。この間、鬼越トマホークの坂井(良多)くんの結婚式に参加した時のこと。おかずクラブのゆいPが、金粉がちりばめられたゴージャスなヘアスタイルで現れたんです。それがものすごく可愛かったので写真を撮っていると、周りにいた新婦さんのお友だちも次々と撮影をし始める事態に。そのくらい女の子が夢中になっちゃう素敵な髪型だったんです。すると、ゆいPが、「美容師さんに伝えたいから写真を撮って。絶対に喜ぶから」と言い始め、その状況を写真におさめることに。手柄を自分のものにせず、ヘアスタイルが美容師さんの手がけた作品であることを周りの人に伝え、さらに本人に盛り上がりを共有しようとしているところがすごいなと思いました。美容師さんは絶対に嬉しいだろうし、相手の気持ちを考えているからこそできる行動ですよね。それに、早く伝えたい!とワクワクしているゆいPも、すごく可愛かったです。そんな姿を見て、私もプロのメイクさんにやってもらった時に、誰かから「肌がきれいだね」と言われたら、“素肌を褒められているわけじゃない、塗ってくれた人がいるんだ!”ということを認識して、ちゃんと伝えなきゃダメだなと反省しました。ゆいPのようになるためには、やっぱり、手柄を独り占めにしない意識を持つことが大事ですよね。坂井くんは結婚式の挨拶で、「妻が全部、準備をしてくれた」と話していましたが、そんなふうに感謝をしたり、花を持たせることが必要だなと。私はこれまで、雑誌の撮影でスタッフの方から「可愛い」と言われても、「七五三みたいですよね~!」と返すしかできなかったけれど、これからは、そんな自分を作り出してくれたプロのみなさんを褒めるという方法を取り入れていきたいと思います!よこさわ・なつこ芸人。“ちょっとイラッとくる女”のモノマネで大ブレイク。バラエティ番組やCMで活躍中。2023年6月に第三子を出産。※『anan』2024年5月8日‐15日合併号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2024年05月09日5月3日(金)に全国で公開される映画、『バジーノイズ』。W主演のJO1川西拓実さんと桜田ひよりさんは、今回が初共演。お互いの第一印象や、自身の役に対する想いをインタビュー。出会いで変わっていく二人の心情に共感。音楽さえあれば何もいらないと孤独に生きる清澄を演じた川西拓実さんと、そんな彼が作る音楽に感動して、清澄を外の世界に連れ出す潮を演じた桜田ひよりさん。映画『バジーノイズ』では二人の運命的な出会いと成長、そして今の音楽界のリアルが描かれている。――最初に映画の話を聞いた時はどう思いましたか?川西:僕が映画の主演ですか!?という驚きはありましたが、清澄とはかなり似ている部分があると感じたので、演じたいという思いもありました。今は変わりましたが、僕も周りを遮断して生きていた時期があったんですよ。僕はJO1のメンバーに出会って変わったので、清澄とリンクするなと思いました。潮と出会って徐々に変わっていく清澄の変化の過程は細かく意識しましたし、清澄の“音楽があるから生きている”という危うさを丁寧に演じさせていただきました。桜田:私は純粋に嬉しさが強かったです。原作を読んで一番感情移入したのが潮ちゃんだったので、その潮ちゃんを演じられるというワクワクと、川西さん演じる清澄はどんな清澄だろうと想像しながら撮影を心待ちにしていました。潮ちゃんが窓ガラスを割って清澄の部屋に乱入するシーンは、原作を読んで絶対に自分もやりたい!と思ったくらいお気に入りです。この子についていったら何かが変わりそう、と思わせる表情を潮ちゃんがしていたので、私もそこは意識しました。――清澄と潮は出会ったことで運命が変わりましたが、お二人にはこれまで大きく運命が変わる何かとの出会いはありましたか?川西:JO1のメンバーに出会ったことですね。僕、めちゃくちゃきれい好きで、物が斜めに置かれていたらそっと直すくらいだったんですけど、その壁をJO1がぶち壊してくれました。今では、ちっちゃいことを気にしていても仕方ないなと思えるようになったので、清澄にとっての潮みたいに、メンバーが僕の頑なな心をこじ開けてくれたんだと思います(笑)。桜田:私は風間(太樹)監督との出会いです。それまでは自分の演技の中に不安定さを感じる部分があったんですけど、風間さんと出会って一緒に作品を作っていくうちに、一番自分が役にのめり込むことができる、自分らしい武器を見つけることができました。風間さんとは演技についていろいろお話しした中で、感性が似ていると気づいて。だから演出の指示なども納得できることが多いですし、監督自身もすごく居心地がいい方で、この人についていこうと思わせてくれる絶大な信頼感があります。川西:風間監督は身になるお話をたくさんしてくださいました。カットがかかると不安になって、監督に「今の大丈夫でしたか?」って聞いていたんですけど、「演技に正解はないから、演じる人はみんなそう思ってるんだよ。でも僕がオッケーしてるから大丈夫だよ」と言ってくれて、救われました。現場はすごく楽しかったですし、いい経験をさせていただいて、得るものも多かったです。撮影の合間に垣間見たギャップにほっこり。――今日の撮影も和気あいあいとした雰囲気でしたが、初めて会った時の印象はどうでしたか?桜田:川西さんは、お会いする前にグループで活動されているところをテレビなどで拝見して、キラキラした方という印象でしたが、実際にお会いしたらものすごーく人見知りで!何を話しても「そうですね」しか返事がなく…。風間監督と相談して私の人生初くらい頑張って自分から話しかけました。関西出身だからかノリはよくて、私がボケると次第に小声でツッコんでくださるようになって、今では見事なツッコミをしてくれるようになりました(笑)。川西:台本の読み合わせの日が初対面だったんですけど、ちょっと遠くに置いてあったお水を桜田さんが差し出してくれて、なんて気が利く人なんだ!と感動しました。現場ではとにかくプロフェッショナルでかっこいいなと思ってたんですけど、ある時、野菜スティックをフォークで刺そうとして「刺せない~!」ってジタバタしていて、年相応なところもあるんだってホッとしました(笑)。――今回の特集は「肌と髪」ということで、それぞれの肌と髪を何かに例えてみてください。川西:桜田さんの肌は、例えるならガラスですね。まさに透明肌。桜田:あれ、自分のことを話すんじゃなかったでしたっけ?川西:あっ、そうなの!?(照)桜田:でもその表現、素晴らしいのでお借りします(笑)。私は透明なガラス肌、だそうです。川西:僕の肌はゴムです。ほっぺがすごーく伸びるんですよ(と言って頬をつまんで伸ばす)。桜田:わ、すごい!普通、そこまで伸びないと思います!川西:弾力のある、伸びる肌です。桜田:そして私の髪は、パンダのような毛量です。とんでもなく多くていつも梳いてもらってます。川西:僕はハリネズミのような髪質です。って、桜田さんのパンダの例えに引っ張られた(笑)。『バジーノイズ』ミュージシャンからも絶賛されたむつき潤の『バジーノイズ』(ビッグコミックス)の映画化。ドラマ『silent』の風間太樹監督とスタッフが再集結し、ミュージックコンセプトデザインは藤井風のプロデュースで知られるYaffleが参加。5月3日(金)~全国公開。かわにし・たくみ1999年6月23日生まれ、兵庫県出身。2020年、JO1としてデビュー。JO1では持ち前のセンスで歌もラップもダンスもこなすオールラウンダーとして活躍中。’23年にはドラマ『クールドジ男子』で四季蒼真を演じた。トップス¥84,700パンツ¥68,200(共にOUR LEGACY/EDSTROM OFFICE TEL:03・6427・5901)ネックレス¥38,500右手のリング¥30,800(共にIVXLCDM)左手のリング¥17,000(MIRAH) 以上STUDIO FABWORK TEL:03・6438・9575ベルトはスタイリスト私物さくらだ・ひより2002年12月19日生まれ、千葉県出身。風間太樹監督が演出したドラマ『silent』で注目を集める。’23年に公開された映画『交換ウソ日記』で第47回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した。ブラウス¥10,450スカート¥13,200(共にMERCURYDUO ルミネエスト新宿店 TEL:03・5312・1550)パールベスト付きワンピース¥23,100(カロリナ グレイサー/ビームス公式オンラインショップ)その他はスタイリスト私物※『anan』2024年5月8日‐15日合併号より。写真・恒川脩平(SIGNO)スタイリスト・岡本健太郎(川西さん)前田涼子(桜田さん)ヘア&メイク・奥野まこと(川西さん)池上 豪(NICOLASHKA/桜田さん)取材、文・尹 秀姫(by anan編集部)
2024年05月08日肌や髪の悩みに直面しても、理想があるから頑張れる。目標に近づくために、自分の肌質や髪質を知り、日々研究と努力を惜しまない桜井日奈子さんの美容にかける想いを聞きました。艶やかになびくロングヘアに、しっとりとキメの整った白い肌。誰もが憧れずにはいられない、健やかで美しい肌と髪の持ち主は、俳優の桜井日奈子さん。「元から肌が白いわけではないのですが、高校生の時から日焼けには人一倍気をつけていました。片道40分かかる自転車通学中や、所属していたバスケ部の外周ランニング中には必ずアームカバーをして、頭にはタオルを巻いて…というスタイルでした(笑)。周りの友達からは『よくそんなに頑張れるね』と言われるほど。でも早いうちにケアしておいてよかったなと今は思っています」肌や髪の悩みとは無縁だったかというと、そんなことはないそう。「それこそ思春期は、肌荒れですごく悩みました。顎まわりにニキビが大量にできて、皮膚科に通ったことも。今でも花粉や睡眠不足が原因で荒れてしまったりします。私は混合肌で毛穴が詰まりやすい肌質なので、ピーリングに通ったり、自宅でもケアが欠かせません。髪質はもともとドライなタイプなのですが、職業柄、役で髪色を明るくすることがあるので、よりパサついてしまうのが悩み。ダメージを防ぐために定期的にホームトリートメントしています」自分にとって、美容は“沼”。今もベストな方法を模索中。大の美容好きという桜井さん。美容法やスキンケアのアイテムに関する情報はYouTubeを参考にすることが多いのだとか。「よく拝見しているのは、森のニーナさんという美容系YouTuberの方や、皮膚科医の友利新さん、美容外科医の上原恵理さんのチャンネルです。それから同郷の先輩、MEGUMIさんの美容本にもかなり影響を受けました。今は情報が簡単に手に入れられるぶん、“流行っているから”という理由でアイテムを選ぶと何でも欲しくなってしまうので、情報に流されず、きちんと知識を持った方の意見を参考に、今の自分にとって必要な成分や成分の濃度を見て吟味するようにしています」外側からのケアはもちろん、成分にこだわったサプリメントの服用や定期的な運動、睡眠時間の確保など、肌と髪にいいとされることは何でも実践しているそう。そんな桜井さんが、「ここぞ」という時に行う“効かせるケア”とは?「私の場合、意気込んで特別なことをやると、逆に栄養過多になって肌荒れしたり、それ自体がストレスになったりするので、普段どおりのケアをします。肌にトラブルがある場合は、なおさらシンプルが一番。いつもはパックをしているけれど、マイルドな成分の化粧水とクリームだけにすることもあります。その日の肌の状態に合わせて、刺激を与えないように引き算のケアをすることも大切…というのもYouTubeの受け売りですが(笑)」普段からしっかりケアできているという安心感があるからこそ、あえて特別なことはしない。それが桜井さんの美容哲学。「美容に関しては、アイテムが自分の肌や髪質に合わなかったり、これまで何度も失敗を経験してきました。今も模索中ではあるのですが、悩みがあるからこそ、ここまで探求できたとも思っていて。最近は、成分でいうとナイアシンアミドに注目していて、毛穴の詰まりにくい酸化亜鉛フリーのファンデーションや、ニキビ予防に効果のあるノンコメドジェニックのスキンケアにも興味があります。…なんて、語るとキリがないので、本当に美容は沼ですね(笑)。理想は、ファンデーションを塗らなくてもきれいな“毛穴レス肌”。年齢を重ねるごとに肌と髪の状態も変わっていくけれど、これからもっと美容を勉強して理想に近づいていけたらいいなと思います」HINAKO’s FAVORITE ITEM脂溶性ビタミンC30%配合。肌への浸透力がバツグン!「一般的な水溶性ビタミンCのセラムと違って、メイク前に使っても崩れにくいところが」。C+コレクティングコンプレックス30% 30ml¥21,780(Revision Skincare/ビッグブルー TEL:03・6413・7344)なめらかなバームが肌にとろけて極上の心地よさ「クレンジングはバームタイプを愛用中。『SHIRO』のバームが自分史上、使い心地ナンバーワンです!」。タマヌクレンジングバーム 90g¥7,150(シロ カスタマーサポートinfo@shiro-shiro.jp)3ステップでサロン級のトリートメント効果を発揮。「使用後の髪のしっとり感が段違い。大事な撮影の前にはマスト。ちなみに昨日も使いました」。GINZUBA 3ステップトリートメント(ジェル120ml、マスク180ml、オイル60ml)¥15,400(トリコ TEL:0120・000・870)さくらい・ひなこ1997年4月2日生まれ。俳優。2014年に「岡山美少女・美人コンテスト」でグランプリを受賞。現在、テレビ東京系ドラマ『95』(月曜23:06~)に出演中。ドレス¥27,500タンクトップ¥19,800(共にナイスナイス モーメント/ショールーム リンクス)※『anan』2024年5月8日‐15日合併号より。写真・山根悠太郎(TRON)スタイリスト・木津明子ヘア&メイク・白水真佑子取材、文・瀬尾麻美(by anan編集部)
2024年05月05日いきいきとした表情と豊かな表現力に、10代の頃から変わらない弾力肌とさらつやヘアも魅力の伊藤万理華さん。美容を楽しみながら、肌も髪も心もヘルシーでいたい。「美容を頑張りだしたのは最近なんです。香りものは好きで、部屋にお香をたいたり、寝る前にアロマのピローミストをシュッシュしたりはしてたので、いまも美容アイテムを選ぶときには、香りを大事にしています。最近のケアは、お風呂上がりに森の香りがする『アスレティア』のコアバランスオイルをつけて、次に『ヨンカ』のローションをスプレーして、いい香り~って。ラベンダー系の精油の香りがいいんです。こういうのは、メイクさんに使っていただいたもので好みの香りを自分で買うことが多いです」つねに健やかな肌に見えるけど、実はこれまでは「乾燥肌だね」と言われることも。「25歳くらいで日光に当たると発疹が出るようになって。年齢とともに肌がゆらいだのかもしれませんね。そこで肌もちゃんと見てあげようと思ったんです。そしたら全然乾燥しなくなって…美容ってすごい!」俳優としても多忙な日々。主役を演じるNHKドラマ『パーセント』では、関西での長期ロケも経験。慣れない環境でも健やかでいられたのは持参した愛用アイテムのおかげ。「特にヘアオイル!『モロッカンオイル』はもう3本はリピートしました。濡れた状態でなじませてドライヤーをかけるとすごくちょうどいい。もともと髪質は健康ですが、いろんな色に染めるのも好きだったのと最近は髪が長くなったこともあって乾燥が気になりだして…。思えば乃木坂46時代も周りの子は熱心にケアしてたのに、なーんにもしなかった私がヘアオイルって…なんか照れるな(笑)」外からのケアに加えて、体の内側からのケアにも気をかけ、栄養をたっぷりと。最近はスパイスを効かせた料理を友達と作る時間が、いい気分転換にもなっているそう。「クローブやカルダモンを入れたキャロットケーキとか。もともとスパイス好きなんですけど、もしかしたら血液のめぐりをよくしてくれるのかもしれないです。友達とものづくりする時間があるから元気にもなれます!」そのヘルシーな肌と髪と心で、この夏やってみたいことは?「やっぱり髪色。オレンジシャンプーでオレンジに染めてみたいです(笑)。髪は何色にでも染めてみたいし、新しい役にもどんどん染まりたい。ユニークな髪色の役も大歓迎です(笑)」いとう・まりか1996年2月20日、大阪府生まれ。乃木坂46の1期生としてデビュー。ドラマ『パーセント』(NHK)では障がいを扱うドラマ制作を通し、悩みつつ進むテレビ局員を演じる。5月11日(土)から全4回放送。トップス¥17,600(フィルモア/WEAVA TEL:03・6451・0924)パンツ¥27,500ベルト¥26,400(共にユートリーク/テンプランニング TEL:03・6438・9007)イヤカフ¥4,400イヤリング¥18,260(共にソムニウム TEL:03・3614・1102)ネックレス¥14,520(エムシー・スタジオ/ズットホリック)リング¥7,260(チビ・ジュエルズ/チビジュエルズ・ジャパン)その他はスタイリスト私物※『anan』2024年5月8日‐15日合併号より。写真・柴田フミコスタイリスト・番場直美ヘア&メイク・伏屋陽子取材、文・大澤千穂(伊藤さん)(by anan編集部)
2024年05月02日山崎育三郎さんの6年ぶりのオリジナルアルバム『The Handsome』は劇作家・演出家の根本宗子さんプロデュース。OKAMOTO’Sやマハラージャン、幾田りらさんといった多彩なアーティストが参加し、口が達者な結婚詐欺師・ハンサムの半生を描くという異例のコンセプチュアルアルバムだ。歌もお芝居もMCも振付もあって、すべてが詰まっているのが音楽活動。「いろいろなエンタメのお仕事をさせていただく中で、物語仕立てのアルバムを作りたいという気持ちがあり、以前からご一緒したいと思っていた根本さんに脚本を含め総合プロデュースをお願いしました。根本さんがある結婚詐欺師のドキュメンタリーを見て『山崎育三郎にこういう役は合うんじゃないか』と思ったそうで、その物語をベースにイメージを膨らませていきました。いろいろな女性をたぶらかすには強い魅力が必要なので、挑みがいがあるなと。新作ミュージカルに参加するような気持ちでしたね」参加ミュージシャンがレコーディングスタジオに来て、山崎さんに直接ディレクションをしながらそれぞれの楽曲を作っていった。濃度の高いコミュニケーションに大きな感銘を受けたそうだ。「ミュージカル俳優としては、あらかじめ出来上がっている作品に対して自分が最高のパフォーマンスをするということを多くやってきましたが、何もないところから作品を生み出すことに対する憧れがあります。アーティストの皆さんはずっとそれをやられていますし、音楽に生き様が出ていて、それは相当の覚悟がないとできない。そういった方たちとの出会いは本当に大きかったです」「どんどん自分のイメージを壊していきたい」と話す。大森靖子さん作詞・作曲の「光のない方へ」ではこれまでに出したことのないような高いキーの歌唱にチャレンジした。「参加してくださった方たちの世界に思いっきり染めてもらうというのも今作のひとつのテーマでした。『光のない方へ』は大森さんのディレクションにより、追い込まれて首を絞めて歌っている女性のようなキー設定の曲になりました。今作でこれまでやらなかったことを多くやったことでいろいろな発見がありましたね」ミュージカル、ドラマ、映画、バラエティなど、多岐にわたる活動をする山崎さんにとって音楽活動はどんな表現方法なのだろうか。「いろいろなお仕事をやらせてもらっている中で、歌もお芝居もMCも振付もあって、すべてが詰まっているのが音楽活動です。今回のアルバムのツアーが5月から始まりますが、ミュージカルとライブの間のような、物語が伝わるものになると思います。ライブで『The Handsome』が完結する気がします。誰も置いていかない総合エンタメの場所にしたいですね。山崎育三郎とは?ということが一番伝えられるのが、音楽活動におけるステージの上。だからこそずっと音楽活動は続けていきたいと思っています」6年ぶりのオリジナルアルバム『The Handsome』。根本宗子が総合プロデュースを手がけ、「LIKE、重ねていく feat.幾田りら」を含む全10 曲収録。【通常盤(CD)】¥3,300(Sony Music Labels)やまざき・いくさぶろう1986年1月18日生まれ、東京都出身。2007年の『レ・ミゼラブル』のマリウス役に抜擢。ミュージカルにとどまらず、映画、ドラマ、声優など多岐にわたり活躍。5月18日から全国ツアー開催。※『anan』2024年5月1日号より。写真・小笠原真紀取材、文・小松香里(by anan編集部)
2024年05月01日ドラマ『ブルーモーメント』で、気象学の天才を演じる山下智久さん。「天才」といわれる役を数々演じてきた彼が、この役に向かうにあたり考えていることとは?その言葉の端々から、演技に対する姿勢や、こんなにも多彩な表現ができる理由が、熱く、そしてストレートに伝わってきます。山下智久――真摯な表現者。優れた嗅覚を持つワイン愛好家、天才科学者、優秀なフライトドクター…。これまで非凡な才能を持ったキャラクターを数多く演じてきた山下智久さん。その山下さんが、ドラマ『ブルーモーメント』で演じているのは、気象災害から人命を守るために奔走する気象学の天才・晴原柑九朗(はるはら・かんくろう)だ。「このドラマの存在が、少しでも災害リテラシーが高まるきっかけになればと思うんです。この仕事をするうえで僕は、自分が関わった役だったり作品が、見ている方にどんなメッセージを届けられるかも、大事にしている部分だったりします。ドラマひとつで、世の中がそんなに大きく変わることはないだろうけれど、ひとりでもふたりでも、いい影響を受けてくれたらと思うんです。今回のドラマも、気象学なんて聞くと縁遠いものだと感じるかもしれませんが、じつはお天気の話です。身近ではあるけれど意外と知られていない豆知識も描かれていますから、きっとなるほどと楽しんでいただけるはず。日本は気象災害が多い国にもかかわらず平和慣れしていて、備えを怠っていることが多い気がするんですよね。この作品を通じて、災害に備えることの重要さを知るお手伝いができれば」晴原は一見クールだが、じつは悲しい過去の経験から人命救助に熱い想いを持ったキャラクター。「日本人って恥ずかしさもあって自分の感情を抑えてしまう傾向があると思うんです。でも晴原は、自然災害から人々を救うんだ、そのために最高のチームを作り上げていくんだっていうことを結構言葉に出していくタイプの人。そこはすごくわかりやすいし、そうやって口に出していくことで自分自身を鼓舞している部分もあるのかなって思うんですよね」山下さん自身もまた内に熱を秘めた人。昔から自分のことを多く語る人ではないけれど、こうと決めたことは強い意志をもって実現させてきた。体づくりも、英語の習得も、俳優としての今の活躍も。「昔読んだ本で、どこかの経営者が『心の底から欲しいとか叶えたいと願えば叶うんだ』と言ってたんです。たしかに、本気で叶えたいと思うなら、そのためにいくらでも努力できるはずで。頑張りもせずに叶わなかったっていうのは違う。たとえばお芝居なら、セリフを10回連続で間違えずに言えたら自分にOKを出すんです。そこまでやるとNGって本当になくなるんです。回数を減らすと本番でドキドキしたり、いろんなことに惑わされちゃったりする。そうなると、自分が本当にこれを成功させたいと思っているのか、そのためにできる限りのことをやったのか、あれもやっておけばよかった…と、ぐるぐる考えてしまう。目標を達成するためには、僕、結構しつこいのかもしれない」ただ、「頑張れる時期と頑張れない時期があって…」と続ける。「休むことも大事だと思うので、そこはうまく取り入れるようにしています。でも休んだら、もう一回歩き出す。挑戦することはやめないです。そうやって自分の中でバランスをとりながら、なるべくしつこく生きてこうかなって」しつこく泥くさく。でもだからこそ山下さんの芝居に、その姿に、心が震わされるのかもしれない。やました・ともひさ1985年4月9日生まれ、千葉県出身。主演ドラマ『ブルーモーメント』は4月24日(水)22時~フジテレビ系で放送スタート。初回は15分拡大。昨年開催のライブ「TOMOHISA YAMASHITA ARENA TOUR 2023‐Sweet Vision‐」のDVD&Blu‐rayが5月22日発売。ジャケット¥187,000タンクトップ¥55,000パンツ¥122,100ブーツ¥171,600(以上ロエベ/ロエベ ジャパン クライアントサービス TEL:03・6215・6116)その他はスタイリスト私物※『anan』2024年5月1日号より。写真・伊藤彰紀(aosora)スタイリスト・櫻井賢之(casico)ヘア&メイク・北 一騎(Permanent)取材、文・望月リサ撮影協力・BACKGOUNDS FACTORY(by anan編集部)
2024年05月01日子供の頃から愛し、憧れ続けた冴羽獠を演じるという夢。ついにそれを実現させた鈴木亮平さんが『シティーハンター』の魅力を熱く濃く語ってくれた60分。きっとこれでも、鈴木さんのシティーハンター愛の片鱗にしかすぎないけれど、漏らすことなく生の言葉をお届けします。実写でも“地続きの世界観”を一番大事にしました。1985年~1991年に連載された、北条司氏によるコミック『シティーハンター』。新宿を拠点に、ボディガードから殺しまで請け負う始末屋(スイーパー)“シティーハンター”こと冴羽獠の活躍を描いたアクションコメディで、テレビアニメの放送は4シリーズにもなる大ヒット作となった。そんな“伝説のコミック”が、Netflixで日本初の実写化。撮影は新宿・歌舞伎町の地元商店街や警視庁・新宿署などから全面協力を得て、大規模なロケが行われた。ずば抜けた身体能力と戦闘力を持ちながら、美女にはとことんだらしない“クールでもっこり”な冴羽獠を演じるのは、鈴木亮平さんだ。――いつか冴羽獠を演じたい、と思いながら俳優の仕事を続けてきたそうですね。『シティーハンター』を好きになったきっかけから教えてください。小学生の時にアニメの再放送を見たことから。これは面白い!とおこづかいで原作の単行本を買い集め始めました。声優になりたいと思った時期もありましたが、俳優の道に進んでからは冴羽獠を演じることが夢のひとつになりました。――『シティーハンター』の魅力はどんなところに感じていますか?ひとつではないんですけど…まずシリアスとコメディの振り幅がこれだけ広い作品は、今までに見たことがありません。冴羽獠と相棒の槇村香のトーンがシーンによってガラッと変わるのに、ストーリーとして成立してしまうところが刺激的で面白いんです。当時アニメといえばファンタジーな世界観の作品が多かったのに対し、この作品は“新宿に行けば冴羽獠に会えるかもしれない”と思わせるような、現実と地続きの世界観を持っているところも魅力でした。そこは実写化するにあたり一番大事にしたところでもあります。――佐藤祐市監督や脚本家の方、プロデューサー陣と共に鈴木さんもシナリオ会議に参加し、衣装を提案するなどもされたそうですね。はい、そこまでひとつの作品に関わるのは初めてでした。――どんな協議をされたのでしょうか。正直、コミック原作の実写化はいろんな理由から、なぜか原作ファンの見たいものではなくなってしまうということが起こりがちですが、僕がこの作品に参加した当初も脚本にそれが起こってしまっていたんです。全体の流れはいいのに、面白くしたいと思うあまりいつの間にかコアの部分がずれてしまっていたというか。それで「冴羽獠が依頼を受けるのは心が震えた時だけだ、とコミックにありましたよね。一回そこに戻りましょう」などと“ファン代表”としての意見を言わせていただきました。少年時代の僕が、これは『シティーハンター』じゃないと思ってしまったらダメだと思ったから。――原作へのリスペクトですね。そういえば以前、雑誌『BRUTUS』の企画で北条先生とお会いした時に、『シティーハンター』をもし実写化するなら…という話で盛り上がったそうですね。北条先生も「鈴木さんが『シティーハンター』はアクション漫画じゃないと理解してくれたことが嬉しかった」とおっしゃっていたようですが。そうなんです。会いたい人に会いに行くという企画で、ダメ元で北条先生をリクエストさせていただき実現しました。そこで僕は、生みの親に向かってこの作品のテーマや良いところをひたすら解説する、という謎の行動を取ってしまって(笑)。でも実写化が決まり、「冴羽獠は鈴木くんがやるのが一番幸せだ」と言ってくださったことが嬉しかったです。わからないならそれでいいと思うところもあるんです。――先ほどの「少年時代の僕が」という言葉が印象的でしたが、昭和の設定をこの令和に持ち込むとなると、時代の差みたいなものが出てきてしまうと思います。そのあたりの工夫はどうされましたか?そこはすごくいいポイントです。『シティーハンター』のお決まりのアイテムはいろいろあって、例えば原作で香の服のボタンの裏についている“発信機”は、GPSが当たり前の現代では「古い」という意見もありました。でも『シティーハンター』は発信機じゃなきゃダメなんです。――それでいえば、携帯電話のない時代に、誰もが自由にメッセージを書き込めた駅の伝言板もそうですね。“XYZ”という暗号をもって獠に依頼を出すための、重要なアイテムです。その当時を知るファンからすれば、伝言板も地続きのアイテムのひとつ。伝言板を知らない世代は理解できないかもしれないけど、欠かせないものなんです。忘れ去られたようにひっそりと生き残っていた伝言板があってもいいかなと。それら発信機や伝言板などのお決まりのアイテムは、わからないならそれでいいと思うところもあるんですよね。――何もかも説明してわからないものはなくす、みたいな現代の風潮の中、それでいいってカッコいいです。賭けですけどね(笑)。でもよく考えたら獠が乗っているミニクーパーもヴィンテージだし、香の上下デニムのスタイルも、いまブームになっている’90年代ファッション風なので違和感なく現代に溶け込んでいる感じがして。そういう古いものと、SNSや歌舞伎町の青少年問題など、今を象徴するものが入り交じった“レトロ現代”みたいな感じが、この作品の絶妙な世界観だと思います。――確かに、一周して新鮮なものに映るかもしれません。香役の森田望智さんについて、共演してみてどのような印象を持たれましたか?森田さんは運動神経が良く、一緒にやっていく中でどんどん香になっていきました。もちろん熱心に香のことを研究されていたというのもあるのですが、香を憑依させる力は見ていてすごかったです。最後の戦いのシーンで、あたふたしながらも獠と一緒に戦いに行く感じは、香そのもので感動しました。――おっしゃるように、原作に見る香を彷彿とさせるものがありました。気になるのが、獠の口癖でもある「もっこり」の使い方です。「もっこり」は性的な表現でもあり、さらに世界配信する作品なので、海外では通じないところが議論にもなりました。直接的な表現とは違う、日本語が持つかわいいニュアンスは、翻訳した時に絶対に伝わらないですから。でもこれは日本の作品だし、日本語がわかる人にしかウケないギャグであることに勇気を持つべきだと思いました。これを取ってしまったら、何か大切なものを失うことになりますから。――ちなみに、パンツ一丁の“もっこりダンス”は世界的にOKですか?(笑)大丈夫です。日本の裸芸は世界中の人に通じるクオリティの高さを誇ります。あのシーンは僕が振り付けをしてパンツも自腹で購入して複数枚から選びました。――もはや鈴木さんのお家芸のような…。「変態仮面」をやって良かったとは思います。あんまり恥ずかしくないですから(笑)。でも実は「変態仮面」に変身して戦っていた時にも、もしいつか僕が冴羽獠を演じるなら、これが良い経験になるな、と思っていました。――準備はすでに始まっていたんですね。そして、日本の作品だということに勇気を持つべきだという考えもさすがです。もちろん世界を視野に入れていますが、まずはこの作品が生まれた国・日本のファンに向けて作ることを最優先にして、あくまでも北条先生が描いた世界観は守りたかったです。――それこそ、特集テーマ“ジャパンエンタメ”に繋がるとも思います。『シティーハンター』の実写版は香港やフランスで製作されていて、海外でもヒットしていますが、日本の文化が持つ力、影響力をどのように感じていますか?監督では是枝裕和さんや濱口竜介さん、役者では役所広司さん、真田広之さん、渡辺謙さんなど、世界的に評価される人材も多く、日本映画も評価されています。また漫画や小説、アニメなど洗練された作品がたくさんあって、日本はアイデアの宝庫。世界各国が今そんな日本のIP(知的財産)を映像化するために日本に熱視線を送っています。それも良いですが、同時に日本からも自国の素晴らしい文化や作品を世界に発信していきたいですよね。そのために僕ら役者はもっと演技力を高める必要があり、芝居だけではなくプロデュースなどにも積極的に関わってもいいと思うんです。役者のみならず監督、脚本家、プロデューサーなどの映像作品に関わるクリエイターたちそれぞれが技術力を上げなければ、国際的に競っていけないという危機感はすでにみんな持っています。それを僕は、幕末の状況にも似ていると思っているんです。――なるほど、面白い視点ですね。海外から技術を輸入して知識を共有し合って、薩摩も長州もなく一丸となって、世界との差を取り戻すべきだし、クオリティの高い日本の作品をたくさん作って海外に発信していくべきだな、と。そして日本人は、みんながひとつになれば強い力を発揮できるとも思っています。――この作品が新たなる世界の窓口を開くようなきっかけになると嬉しいです。最後に、冴羽獠を演じるのはご自分しかいないと思っていますか?フィジカル的に演じられるとか、僕よりも似ている人はいっぱいいると思います。でも、冴羽獠は誤解されやすいキャラクターなんです。少年時代の傷やコアにある寂しさまで理解したうえで、とことんふざけられるかどうか。そこまで捉えて表現できるのは、思い切って言いますが、僕よりできる人はそうそういないかなと思います。ある意味、この30年間、冴羽獠は僕の中に棲んでいましたし、僕は人生のほとんどを彼と一緒に生きてきたような気がしています。――誰もが認めると思います。それぐらい鈴木さんは“冴羽獠”でしたから。それでも、絶対に勘違いしてはいけないのは、僕が想う獠とファン一人一人が想う獠は違うということでした。そこはかなり厳しく演じたつもりです。制作中、自分が大好きな作品をダメにしてしまうんじゃないかと、毎日ものすごいプレッシャーを感じていました。でも怖がって前に進まないのは、この作品にとっても不幸なこと。僕だけじゃなく、作品に関わったスタッフたちの『シティーハンター』への愛情やエネルギーはきっと感じていただけるはずです。『シティーハンター』有名コスプレイヤーくるみの捜索を請け負った冴羽獠。しかし相棒の槇村秀幸の突然の死から、彼の妹の香とバディを組むことに…。出演/鈴木亮平、森田望智、安藤政信、華村あすか、木村文乃ほか。Netflixにて4月25日より世界独占配信。すずき・りょうへい1983年3月29日生まれ、兵庫県出身。ドラマ『下剋上球児』や映画『エゴイスト』『劇場版TOKYO MER~走る緊急救命室~』など主演作多数。anan では「シネマで英会話」を連載中。コート¥116,600ジャケット¥121,000パンツ¥59,400(以上オーバーコート/大丸製作所info@overcoatnyc.com)その他はスタイリスト私物※『anan』2024年5月1日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・八木啓紀ヘア&メイク・宮田靖士(THYMON Inc.)取材、文・若山あや©北条司/コアミックス 1985(by anan編集部)
2024年05月01日日本の新聞社で警察担当記者となったアメリカ人青年ジェイクを通して’90年代東京のリアルな裏の顔を描くドラマ『TOKYO VICE Season2』がスタート。ジェイクを演じていまやインタビューも日本語のアンセル・エルゴートさんと、刑事・片桐を演じる渡辺謙さん。社会の闇を追うふたりを演じた彼らにはハートフルなバディ感が。「謙さんといっぱい時間を過ごせたことに感謝です」(アンセル)左から、渡辺 謙さん、アンセル・エルゴートさん。――日本語で演技されたこの作品をご覧になって、ご家族はなんと?アンセル・エルゴートさん(以下、アンセル):「シーズン2も最高ですね」と楽しんでくれてますし、「アンセルは日本に行ってよかった。大人になった」と言ってます。マナーもいろいろ習いましたから(笑)。渡辺 謙さん(以下、渡辺):彼は真面目なんですよね。役に取り組む方法論や姿勢とあいまって、一緒に過ごすうちに好きな俳優さんのひとりになりましたね。アンセル:謙さんといっぱい時間を過ごせたことにすごく感謝しています。謙さんは1~2テイクだけで完璧。クリント・イーストウッド監督(早撮りで有名)の作品に出てるから。いや、その前からかもしれない。僕は20テイクとか撮るのが好き。渡辺:俺は引き出しが少ないんだよ。自分はマテリアルだと思ってるから、表現したもので十分なものが得られたならOKなんだけど、彼は貪欲にいろんな表現をトライする。エネルギーがあるってことでしょうね。アンセル:エネルギーを無駄にしてるかもしれない(笑)。謙さんは全然無駄にしてない。――おふたりともエグゼクティブ・プロデューサーでもあります。渡辺:僕の役割は、日本語をどうリアルに伝えていくか。字幕にしたときにお客さんがコンフューズしないように、1シーンの中にどうバランスよく英語と日本語を配置するかをアンセルとも話したり。記者や刑事、ヤクザが使う言葉は違うし、それを粗訳からキャラクターの体に乗っけるような台詞にしなきゃいけないので、夜中にも結構、撮影中の台詞を確認する電話が来ました。アンセル:謙さんはいつも自然な翻訳を考えてくれて、僕の演技の日本語を本当にたくさん手伝ってくれました。渡辺:彼もシーズン1よりさらに日本語の台詞にトライしようという意識が高かったので、彼から台詞の提案があると、それでいけそうか、もっと簡単なワードにするかというセッションもしてましたね。――シーズン2では恋愛も絡んでジェイクはさらなる危険に直面します。片桐の苦悩も深まっていますね。アンセル:シーズン2ではジェイクは片桐をちゃんと守ろうとします。ジェイクも大人になってる。渡辺:でも、バカにもなってるよね。いちばんデンジャラスな女を愛しちゃう。「なんで、そこに行くんだよ」ってみんなが思ってる。アンセル:でも、その関係は大事。だって、それは…。渡辺:ちょっと、ちょっと!(と、ネタバレを制す)アンセル:ジェイクはデンジャーが大好き。だから、日本に来たし、重要な仕事をしたいと思ってる。みなさんもどんどん次回が待ち遠しくなりますし、シーズン1と違って、今回は「ちゃんと終わりました」な感じになります。渡辺:完結する感じになる。アンセル:そう、いい食事でお腹いっぱいな満足感がありますよ。『TOKYO VICE Season2』豪華キャストで1990年代東京のリアルで凶暴な裏の姿を描くハリウッド共同制作オリジナルドラマ。WOWOWにて毎週土曜21時~放送、配信中。出演/アンセル・エルゴート、渡辺謙、レイチェル・ケラー、菊地凛子、笠松将ほかわたなべ・けん1959年10月21日生まれ、新潟県出身。『瀬戸内少年野球団』で映画デビュー。アカデミー賞助演男優賞にノミネートされた『ラスト サムライ』(2003年)以降はハリウッドでも活躍。衣装協力・BRUNELLO CUCINELLIアンセル・エルゴート1994年3月14日生まれ、ニューヨーク市出身。『キャリー』(2013年)で映画デビュー。『ベイビー・ドライバー』(’17年)ではゴールデングローブ賞主演男優賞にノミネートされた。※『anan』2024年5月1日号より。写真・野呂知功(TRIVAL)スタイリスト・JB(渡辺さん)ヘア&メイク・金 沙知(アンセルさん)倉田正樹(アンフルラージュ/渡辺さん)インタビュー、文・杉谷伸子(by anan編集部)
2024年04月29日刑事ドラマの常識を軽やかにスタイリッシュに覆し、日本ドラマ史上のレジェンド的存在となった『あぶない刑事』が8年ぶりに復活。38年間演じ続けてきた舘ひろしさんと柴田恭兵さんのバディのカッコよさは“あぶ刑事”世代じゃない人も惚れるはず!――8年ぶりに新作の映画を撮る、と聞いたときは、率直にどう思われましたか?舘ひろし(以下、舘):僕は正直、前回(2016年公開の映画『さらば あぶない刑事』)で終わったと思ってたんですが、また柴田恭兵という人と『あぶない刑事』ができるということだけで、もう断る理由はありませんでした。とにかく恭サマと、もう一回演やれる。それが本当に嬉しかったんですよ。柴田恭兵(以下、柴田):右に同じです(笑)。僕的には、舘さんが「全員集合」と言ったら、もう何はさておき馳せ参じますよ(笑)。舘:何をおっしゃる(笑)。柴田:いや、実は正直なことを言うと、最初は「映画?もういいでしょ…?」という部分はなきにしもあらずでしたが、「二人のどちらかの娘が登場する話を考えている」と聞いて、これはちょっとおもしろくなりそうだな、と。長い間やってきましたけれど、これまでタカとユージのプライベートが垣間見えるということは、ほぼなかったので。――久しぶりの『あぶ刑事(デカ)』の現場だったと思いますが、すぐに雰囲気は掴めましたか?舘:ええ。会った途端に空白の時間はまったくなかったような感じでした。柴田:そう。ブランクなんてなかったみたいに。舘さんがダンディーにそこに立っているだけで、みんなが「よし、やるぞ」という気になるんです。舘:恭サマと僕、オンコ(浅野温子/あつこ)、(仲村)トオルが揃えば怖いものなし。僕は本当に、この4人は最強だと思ってるから。柴田:安心感も大きいですからね。たぶんそういう雰囲気、映像にも溢れているんじゃないのかな。――おっしゃるとおりで、みなさんが楽しく撮影していらっしゃる感じが溢れていました。舘:そう、めちゃくちゃ楽しかったもん(笑)。――舘さんが演じる鷹山敏樹、柴田さんが演じる大下勇次。それぞれの魅力を教えてください。柴田:タカはとにかくダンディー。世界を代表するダンディー。びっくりするぐらいダンディー。舘:(笑)。あの、鷹山っていうのはこの作品にとってファンダメンタルな存在で、土台みたいなものだと思ってます。物語の基礎に鷹山という男がいて、その上にユージという建物が立つ。タカの上でユージが走ったり、キラキラ輝いている。僕は土台だからそんなに目立つ男じゃないんです。柴田:それで言ったら、ユージはセクシーで軽くてただのお調子者。舘:いやいやいや、そんなことはない(笑)。タカとユージも、舘ひろしと柴田恭兵も同じなんですが、それぞれが長方形の対角線上にいるような、遠い存在なんですよ。でも、そういう二人がバディを組むことでケミストリーが起こり、おもしろいものが出来上がる。それがタカとユージ、そして『あぶない刑事』の魅力なんじゃないのかな。――今回の監督・原廣利さんは現在30代半ばで、ご自身でも「再放送で見ていた世代」とおっしゃっていました。若い監督と一緒の現場はいかがでしたか?柴田:舘さんの初日にハーレーに乗るシーンがあって、それを見た瞬間にみんなが「わぁ、ダンディー鷹山だ!」って大興奮だったんです。そこでまず世界観が出来上がった。芝居に関しては僕たちが、「こんな感じでやりますよ、こんな芝居ですよ」というのをいろいろ提案し、それを監督はじめ若いスタッフがいろいろと拾って、“もっと素敵に、もっとダンディーに、もっとセクシーに!”と頑張って撮ってくれたんです。舘:原監督のお父さんは原隆仁監督といって、かつて『あぶ刑事』のテレビドラマの監督だった方なんです。原隆仁監督は、ハードボイルドな作品を撮るのが本当に上手かった。柴田:ハードボイルドのなんたるかがわかっていて、さらに作品がとてもおしゃれだった。舘:その息子さんである原廣利監督も、そのDNAを受け継いでいるんじゃないのかな。柴田:本当にそのとおり。その上で、このわがままな二人のやりたい放題を受け止めてくれて(笑)。――久しぶりの『あぶ刑事』ということで、現場に入る前に特別な準備などはされましたか?舘:まったくないです(笑)。柴田:女性を抱きしめるシーンの準備とかはしてると思いますよ?まあ準備なんてしなくても、お手の物ですけど。舘:それは確かに練習が必要ね。柴田:僕が現場で台本を読んでいると、舘さんが横に座ってる。「恭サマ、何考えてるの?」って聞くから、「このセリフのことを、ちょっとね」。で、僕が「舘さんは?」と尋ねると、「女のこと」って(笑)。舘:(苦笑)。いや、それは、恭サマがセリフも物語もすべて把握しているから、わからないことがあったら恭サマに聞けばいいわけで。すごいんですよ、恭サマは。僕はね、彼の横でふにゃふにゃしてるだけなんです。――本当に、タカとユージのようにいいコンビネーション…。柴田:僕と浅野さんとトオルで、舘さんのわがままを支えているんです(笑)。――ちなみにお話ししていただける範囲で、舘さんのわがままエピソードを教えてもらえますか?舘:「8時からデートだから、6時に撮影を終わらせてほしい」って言ってた日があったんですよ。でもどんどん押しちゃって、全然終わらない。で、我慢できなくなっちゃって、「デートがあるから帰ります」って、帰っちゃった。――柴田さんはなんと?柴田:「しょうがないなぁ」(笑)舘:優しいでしょ?恭サマ(笑)。――ご自身の俳優ヒストリーの中で、『あぶない刑事』はどんな意味を持つ作品ですか?舘:僕にとってはまず、「代表作が持てた」という意味で、この作品に出合えたことは本当に幸運だったと思います。俳優の名前を見て「この作品!」というものを持てることって、実はなかなかないんですよ。柴田:若いときは、この作品がヒットしたからこそ、「もっと違う自分を見せたい」とか「また別の素敵な作品に出合えるだろう」と思っていたんですが、時間が経ってから、『あぶない刑事』は自分が思っていたよりも大きな意味を持つ作品だったことに気がついたというか…。作品はもちろん、出演者、スタッフ、誰一人欠けても生まれなかった作品だと思うんですよ。いろんな意味で、僕にとって素敵な出合いだったと言える作品です。今作のエンディングでユージが振り返って何かを口走るんですが、実は、もう亡くなってしまったスタッフや共演者の名前と“ありがとう”と言ってまして…。毎回本当にいろんな人に支えてもらって、出来上がった作品なんですよね。――全編にわたってカッコいいタカとユージ、そして『あぶない刑事』の世界観を満喫できる2時間ですが、あえてお二人から、「特にここを観て!」というところを教えていただけますか?柴田:年を取った元刑事の二人の、無理して頑張っているカッコよさを観てほしいです。タカとユージってアニメのキャラクターみたいなものだと思っていて、年を取ってもキャラにブレはないんです。舘:そうそう。頑張ることこそが年を取った男のカッコよさですよ。最近わりとシリアスな映画が多いような気がするんですが、そんな時代に、こういう楽しくてちょっとバカバカしい映画もいいかな、と思います。柴田:そう。映画って楽しいんですよって言いたいよね。『帰ってきた あぶない刑事』定年退職後ニュージーランドで探偵業を営んでいた鷹山と大下が、8年ぶりに横浜に戻り、探偵事務所を開設。最初の依頼人は、タカ&ユージのどちらかの娘?!彼女の依頼は「母親の捜索」。二人は捜索に乗り出すが、殺人事件が多発、さらにはテロの危機が。母親は見つかるのか、そして街は救われるのか?!共演に浅野温子、仲村トオル、土屋太鳳、早乙女太一、ベンガル、吉瀬美智子、岸谷五朗ほか。監督/原廣利脚本/大川俊道、岡芳郎5月24日より全国公開。©2024「帰ってきた あぶない刑事」製作委員会たち・ひろし(写真・左)1950年生まれ、愛知県出身。’76年に映画『暴力教室』で俳優デビュー。映画『終わった人』で第42回モントリオール世界映画祭最優秀男優賞を受賞。しばた・きょうへい(写真・右)1951年生まれ、静岡県出身。’75年に劇団「東京キッドブラザーズ」に入団し、キャリアをスタート。代表作にドラマ『ハゲタカ』、映画『半落ち』など。※『anan』2024年5月1日号より。写真・野呂知功(TRIVAL)スタイリスト・中村抽里(舘さん)古舘謙介(柴田さん)ヘア&メイク・岩淵賀世(舘さん)澤田久美子(柴田さん)(by anan編集部)
2024年04月29日出会った女性がネタの源。そんな横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、自分の体のことを理解している女性、「熱い湯船に浸かる女」になりきり。体の不調の対策法を人にリサーチしてみよう!私は、頭が痛かったり、風邪の気配を感じるなど、ちょっとでも体調が良くないと、すぐに薬を飲むタイプです。それを、とある友だちに話したところ、「あのね、一番効くのは、あっつい湯船に浸かることなんだよ!」と。言われた瞬間は、頑固おやじみたいだな、古代の人のような治し方の人だな、と思っていたのですが(笑)、いろいろなことを試してみた結果、体を温めて汗をかき、免疫を高めることがとても大事だという結論にたどり着いたことがわかりました。予防することを何よりも大事に考えて取り組んでいて、実際、彼女は本当に元気はつらつとしています。そんな姿を見ていると、自分の免疫は努力次第で育てられるのかもしれない、という気持ちも芽生えるように。それに、振り返ってみると最近は、小さな子どもがいることもあって、熱い湯船に浸かることがなかなかできていないことにも気づかされたんです。毎日は難しいかもしれないけど、自分の健康のため、体を温めるという初歩的なところに立ち戻って頑張ろうと思っています。まずは、いろいろな不調の治し方や予防法にチャレンジして、自分の体にぴったり合うものを見つけるようにしましょう。そのためにも、元気そうだなと思う人がいたら、「ちょっと体調が悪い時ってどうしてる?」と聞いてみるなど対策をリサーチして、気になるものがあれば真似してみるといいのではないでしょうか。私の場合は、熱が出ると首にタオルを巻き、布団をかぶって汗だくになるまで寝るようにしていますが、人それぞれ、まったく違った答えが出てきそうですよね。人に美容法を聞くことはあっても、健康法を聞くことって、なかなかないと思うんです。きっと、参考になる方法が、たくさん見つかるはず!よこさわ・なつこ芸人。“ちょっとイラッとくる女”のモノマネで大ブレイク。バラエティ番組やCMで活躍中。2023年6月に第三子を出産。※『anan』2024年5月1日号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2024年04月28日大河ドラマ『光る君へ』にて、まひろ(吉高由里子/紫式部)や藤原道長(柄本佑)の人生に、そして歴史の大きなうねりの中で、重要なポジションを占めることになる役、一条天皇。演じる塩野瑛久さんに、オーディションで決まった時の思い、そして現在演じるにあたっての心境を伺いました。『光る君へ』一条天皇役・塩野瑛久塩野瑛久さんが演じるのは、第66代・一条天皇。定子(高畑充希)と彰子(見上愛)という2人の妃を持ち、道長の娘である彰子のもとには、まひろが宮中女房として出仕。物語のカギとなる重要な役柄だ。「オーディションで決まった初めての大河ドラマ。制作統括の内田ゆきさんとは、以前『佐知とマユ』(2015年)というドラマでご一緒したことがありますが、オーディションではその時よりも成長した姿を見てもらえたのかなと。合格後、監督や脚本家の大石静さんに言われたのは、変に気張らず、そのままの自分を素直に出してほしいということ。個人的には顔立ちや雰囲気が、大石さんの描く平安時代の世界観にはまったのかもと思います」配役が発表されると、SNSは“ピッタリ!”などと盛り上がり、Xでは“一条天皇”がトレンド入りするほど。史実上、一条天皇とはどんな人物だったのか。演じるにあたり塩野さんが調べた中でも心を掴まれたのは、そのひたむきさだったという。「誠実で聡明、そして龍笛(りゅうてき)の名手。あとは猫好きだということも、よく書いてありますよね。でも、一条天皇といえば、やっぱり定子と彰子との関係。一人の女性を愛し続けることがなかなか難しい時代に、一条天皇は一途な思いを遂げた。その人柄に、惚れました」そんな一条天皇の人生が、ドラマの中で立体的に描かれる。「一条天皇と定子が仲睦まじく接しているのは、わりと最初のほうだけ。すぐに怒涛の展開となります。大石さんが書く一条天皇は、僕が調べた人物像より、ある意味人間らしい。暴走したりもしますから。それに脚本を読んで僕が感じたのは、とても情に厚いということ。ゆえに民を豊かにするとか、政治を良くするとか、相反する課題の間で苦悶する。好きな人への思いと政治の板挟みなど、ずっと苦しんでいる感じです(笑)」一条天皇は龍笛の名手でもあることから、塩野さんもクランクイン前から練習を重ねたそう。「これはもう、本当に難しくて最初は大変でした。でも、一生懸命練習して、先生たちも『ここまでやってくれる人はなかなかいない』と言ってくださって。また、先生たちが褒めるのがうまくて、そのおかげで成長できたと思うんですけど。ドラマでは、僕が実際に吹いている音を、そのまま使っていただけることになりました」大河ドラマでは、龍笛しかり、所作や特有の衣装など、現代劇にはない、演じること以外の要素もプラスされる。「時代劇は以前も出演したことがあるので、所作に関してはそこまで難しくないという印象です。それに僕は帝役。自分以上に偉い立場の人がいないので、悠々と座っていればいいという。ただ、その姿勢が実はキツいんです。今の胡坐(あぐら)とは座り方が違って、しばらく座っていると脚が大変。衣装は夏と冬の2パターンで夏のほうが軽いことは軽い。白と紺、みなさんはどちらがお好みかな?(笑)」帝ファッションにも要注目。今作には錚々たる俳優陣が出演しているが、なかでも共演シーンが多いのは、道長役の柄本佑さん。「世の中を動かす二人なので、そこでの問答みたいなものがけっこうあります。ただ、それも御簾越し。高貴な人物は御簾の内側にいなければいけないのですが、御簾を隔てると心理的な距離を感じてしまって。この間も、撮影の合間に御簾の向こうで佑さんとロバート秋山さん(藤原実資役)が楽しそうに話をされていて、僕もその話題に入れそうだなと思っても、御簾の外からはこちらが見えにくいようで全く目が合わない。御簾という存在によって、天皇の孤独を感じることが多くなりました」だからこそ御簾を越えてくる相手には、より親近感が湧くそう。「政(まつりごと)が取り払われるというか、自分の懐に入ってきてくれるような感じがして。とくに母上役の吉田羊さんとのシーンは、距離がぐっと縮まっていると思いますし、自分でも思ってもみなかった感情が湧いてきたりします」『光る君へ』は、これまであまり大河ドラマになじみのなかった層も取り込んでいるが、塩野さん自身はこの作品の魅力をどんなところに感じているのだろう。「まず平安時代がドラマになることが珍しいと思うんです。映像を通して、それがどんな時代だったのかを知れるところが魅力のひとつ。合戦がない時代ということもあり、そのぶん人間ドラマがより深く描かれているのも見どころです。あと、まひろ(紫式部)が『源氏物語』を、ききょう(清少納言)が『枕草子』を執筆するシーンもあるので、あの歌の背景にはこんなことがあったのかと、原作の解釈の幅が広がる楽しさもあると思います」一条天皇としては、今後どんな見どころが待っているのだろう。「基本的には定子と彰子との関係や、道長との政治のやり取りがメインになりますが、おそらくみなさんが想像するような歴史上の一条天皇とは、また違ったキャラクター性で描かれていると思います。最初は出演シーンが少ないものの、中盤以降は物語を引っ張るうえで重要な人物になるので、“こんなものか”と思わずに、気長に付き合ってもらえたら嬉しいですね」写真提供・NHK苦悩する麗しき帝、一条天皇に注目。塩野さんが演じる一条天皇は、4月14日放送の第15回から登場。最初に入内した定子を愛するが、のちに彰子も入内し、世継ぎをめぐる政争に巻き込まれる。大河ドラマ『光る君へ』舞台は平安時代。主人公・まひろ(吉高由里子)は、紫式部として『源氏物語』を書き上げた人物。時代の荒波に翻弄されながらも、変わりゆく世を、変わらぬ愛を胸に懸命に生きる。毎週日曜20時~NHK総合ほかで放送中。しおの・あきひさ1995年1月3日生まれ、東京都出身。2012年に俳優デビュー。’19年、ドラマ『Re:フォロワー』主演。今秋放送予定のWOWOW『連続ドラマW ゴールデンカムイ ‐北海道刺青囚人争奪編‐』に出演決定。コート¥99,000ボウブラウス¥38,500スラックス¥49,500(以上LANVAN COLLECTION/LANVAN COLLECTION 表参道店 TEL:03・3486・5858)その他はスタイリスト私物※『anan』2024年5月1日号より。写真・樽木優美子(TRON)スタイリスト・山本隆司(Style3)ヘア&メイク・下川真矢取材、文・保手濱奈美撮影協力・BACKGROUNDS FACTORY(by anan編集部)
2024年04月25日